先月に退院した、くるみちゃん。

くるみちゃんは、僧帽弁閉鎖不全症(弁膜症やMRとも言います)が重症になりお薬での治療が難しく手術以外では長生きできない状況になってしまったため、先々月に心臓をいったん停止させて心臓の中を修復・形成するという大手術を行いました。

当院の僧帽弁の手術は、日本で実施できるのは(世界的にみても)まだほんの数カ所だけの大変特殊かつ困難なものです。

そのため遠方からご紹介を受け来院される患者様が多いのですが、くるみちゃんは小さい頃から当院にかかっているスタッフみんなもよーく知っているワンちゃんでした。

年齢とともに心臓が悪化し(マルチーズはMRになりやすく、重症になってしまう事が多いです)いざ手術となったのですが、2kgという大変小さな体で5時間近い手術を頑張って乗り越えてくれ、あっという間に元気になりました。みんなの喜びもひとしおです。

僧帽弁閉鎖不全症は高齢の小型犬やキャバリアの子に多く、患っているワンちゃんが大変多い病気です。
まだまだ手術できる病気という認知が低く、獣医さんでも知らない先生がいるくらいです。
小型犬で一度心臓を止め、鶏卵大の心臓の中を手術で治すという想像もできないくらい難しいものですが、近年の手術環境の発展に伴い成績はどんどん上がっています。これまで諦めるしかなかったワンちゃん達の希望として手術が広まっていけばなぁと祈るばかりです。