愛猫が突然けいれんしたり、意識を失ったりすると、飼い主はどのように対応すべきか迷うものです。落ち着いて行動するためには、あらかじめてんかん発作の特徴や受診の目安を把握しておくことが大切です。

本記事では、猫のてんかんを引き起こす主な原因や症状、発作時の対処法、受診の目安や治療法についてわかりやすく解説します。 

猫の”てんかん”の概要

てんかんは、脳の神経細胞が一時的に異常な電気活動を起こし、発作を繰り返す病気です。てんかんが起こると、全身のけいれんや意識障害、手足の硬直などが見られることがあります。

多くの発作は1〜3分程度で自然に治まりますが、5分以上続く場合や、意識が戻らないまま発作を繰り返す場合は命に関わるおそれがあるため注意が必要です。 

【原因別】猫のてんかんの種類

猫のてんかんは、発作が起こる原因によって大きく2つのタイプに分けられます。

  • 特発性てんかん
  • 症候性てんかん

特発性てんかん

特発性てんかんは、血液検査やMRI検査などを行っても、発作の原因となる脳や全身の異常を特定できないてんかんです。主に1〜6歳の若い猫に発症しやすく、遺伝的な素因や脳内の電気信号を調整する仕組みの乱れが関係していると考えられています。

症候性てんかん

症候性てんかんは、脳そのものに生じた病気や損傷が原因で発作を繰り返すてんかんです。主な原因として、脳腫瘍や脳炎、事故や落下による頭部外傷、脳梗塞・脳出血などの脳血管障害が挙げられます。

特に高齢の猫が初めて発作を起こした場合は、脳に異常がないかを調べなければなりません。

猫のてんかん発作で現れる症状

猫のてんかん発作の症状は、発作の種類によって異なります。本章では、代表的な症状や行動の変化について解説します。

  • 全身のけいれんや意識消失が起こる「全般発作」
  • 顔や手足の一部に異変が現れる「焦点発作」
  • 発作前後に見られる落ち着きのなさ・ふらつき

全身のけいれんや意識消失が起こる「全般発作」

全般発作は、脳の広い範囲で異常な興奮が起こり、意識や全身の動きに影響が及ぶ発作です。突然倒れて意識を失い、全身のけいれんや手足の硬直、手足を繰り返し動かす「パドリング運動」などの症状が現れます。

さらに、口をカチカチと動かす、よだれや泡を出す、尿や便を漏らすといった様子を伴う場合もあります。

顔や手足の一部に異変が現れる「焦点発作」

焦点発作とは、脳の一部で異常な電気活動が起こり、体の限られた部分に症状が現れる発作です。顔の片側やまぶた、口元がピクピク動くほか、片方の手足が引きつるような動きが見られます。

口をもぐもぐ動かす、虫を追うようなしぐさをする、よだれを垂らす、一点を見つめるなどの様子も、焦点発作の特徴です。全般発作に比べて症状がわかりにくいため、見逃されやすい発作といえます。 

発作前後に見られる落ち着きのなさ・ふらつき

発作の前には、そわそわして歩き回る、暗い場所に隠れる、飼い主から離れなくなるなど、普段とは異なる行動をとる場合があります。

一方、発作が治まった後には、足元がふらつく、反応が鈍くなる、ぼんやりするといった症状が現れます。一時的に目が見えないような状態になったり、眠り込んだりすることもあります。

猫がてんかん発作を起こしたときの対処法

猫がてんかん発作を起こしたときは、慌てず落ち着いて対応しなければなりません。ここでは、発作中に行うべき主な対処法を紹介します。

  • 周囲の危険な物を遠ざけて静かに見守る
  • 発作の様子を動画で撮影する
  • 猫の体を押さえたり口の中に手を入れたりしない

周囲の危険な物を遠ざけて静かに見守る

猫がてんかん発作を起こしたときは、ぶつかるおそれのある家具や硬い物を周囲から遠ざけ、静かに見守ります。移動できない家具や壁にぶつかりそうな場合は、猫との間に座布団やクッションを置き、衝撃に備えてください。

大声を出したり猫を無理に移動させたりせず、落ち着いて安全を確保することが大切です。

発作の様子を動画で撮影する

発作の様子を動画で撮影することも重要です。顔の向きや手足の動き、けいれんの様子がわかる映像は、獣医師が発作の種類や原因を判断する際の参考になります。また、撮影と同時に開始時刻を確認し、てんかん発作が何分間続いたかも記録しておきましょう。

猫の体を押さえたり口の中に手を入れたりしない

てんかん発作の最中は、猫の体を押さえつけたり、抱き上げたりしないでください。意識が低下している猫に触れると、突然強い力で噛まれ、飼い主が怪我をするおそれがあります。猫が舌を噛まないようにと、口の中へ手や物を入れる行為も危険です。

猫のてんかん発作で動物病院を受診する目安

猫のてんかん発作は、症状や発作後の状態によって受診の緊急性が変わります。動物病院を受診する主な目安は、次のとおりです。

  • 初めて発作を起こした
  • 発作が5分以上続く・短時間に繰り返す
  • 発作後も意識や歩き方が戻らない

初めて発作を起こした

猫が初めて発作を起こした際は、脳や内臓の病気、中毒などが原因となっている可能性があるため、早めに動物病院を受診しましょう。受診時に発作の様子や継続時間、発作前後の変化を獣医師へ伝えると、原因を調べる手がかりになります。

発作が5分以上続く・短時間に繰り返す

発作が5分以上続く重積発作や短時間に何度も起こる偶発発作では、脳の異常な興奮が続き、深刻なダメージや後遺症を引き起こすおそれがあります。中には、重い脳の病気や中毒、代謝異常が関係しているケースもあるため、速やかな受診が求められます。

発作後も意識や歩き方が戻らない

発作後は、一時的にぼんやりしたり、足元がふらついたりすることがあります。一方、呼びかけに反応しない、立ち上がれない、正常に歩けないなどの状態が続く場合は、脳の病気や低血糖などが関係している可能性も考えられます。

また、外見上はけいれんが止まっていても、脳内で発作が続いているケースもあるため、症状が改善しないときは動物病院を受診しましょう。

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猫のてんかんの治療法

猫のてんかんに対する治療は、原因や発作の頻度、重症度に応じて行われます。脳腫瘍や脳炎などが関係している場合は、基礎疾患の治療を優先することが重要です。一方、特発性てんかんでは、必要に応じて抗てんかん薬を継続的に投与し、発作の回数や重さを抑えることが治療の中心となります。

てんかん発作やケアに関するよくある質問

猫のてんかんや発作時の対応について、飼い主様からよく寄せられる疑問にお答えします。

Q:てんかんの薬は一生飲み続けなければいけませんか?

A:基本的には長期間、あるいは生涯にわたる投薬が必要になるケースが多いです。自己判断で薬を急にやめたり量を減らしたりすると、反動で重度な発作を引き起こす危険があります。

症状が安定している場合でも、必ず獣医師の指示に従って投与を継続・調整してください。

Q:てんかんを持つ猫の日常ケアで注意点はありますか?

A:発作時のケガを防ぐため、高い場所への登り降りを減らす工夫や、家具の角にクッション材を貼るなどの安全対策が有効です。

また、強い光や大きな音、不規則な生活リズムなどのストレスが発作の引き金になることもあるため、静かで落ち着ける環境づくりを心がけましょう。

Q:てんかん発作と低血糖や中毒によるけいれんはどう違いますか?

A:見た目のけいれん症状は非常に似ていますが、原因が異なります。低血糖や中毒は血液検査等で判明し、原因への対処で改善が見込めます。一方、てんかんは脳の異常な電気活動によって起こるため、動画の撮影や詳しい検査を行って鑑別診断する必要があります。

Q:発作を起こした後はすぐにご飯や水をあげても大丈夫ですか?

A:発作直後は意識がはっきりしていなかったり、喉の反射が鈍くなったりしているため、すぐに与えるのは控えましょう。誤嚥して肺炎を引き起こすリスクがあります。

猫の意識が完全に戻り、足元のふらつきがなくなって落ち着いたことを確認してから与えるようにしてください。

猫にてんかん発作が見られたら動物病院へ相談しよう

猫のてんかん発作は、全身のけいれんだけでなく、顔のピクつきや普段とは異なる行動として現れることもあります。異変に気づいたら猫の様子を落ち着いて観察し、発作中は周囲の危険なものを遠ざけて安全を確保してください。

あわせて発作の継続時間を記録し、可能であれば動画も撮影しましょう。初めて発作を起こした、発作が5分以上続く・短時間に繰り返す、発作後も意識や歩行障害が戻らないといったケースでは、速やかに動物病院を受診することをおすすめします。

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