気温や湿度が高くなる夏場は、猫の体に負担がかかりやすい季節です。猫は暑さを感じても言葉で伝えられないため、飼い主が不調のサインに気づき、過ごしやすい環境を整えてあげることが重要です。
本記事では、猫の暑さ対策に必要な知識や、快適な環境づくりのポイントを分かりやすく解説します。
猫にとって暑さ対策が重要な理由

まずは、猫にとっての暑さ対策の重要性を解説します。人間とは異なる体温調整の仕組みや、狭い場所に入り込む習性がポイントです。
- 汗腺が少なく体温が下がりにくい
- 全身が被毛に覆われている
- 狭い空間に隠れる習性がある
汗腺が少なく体温を下げにくい
猫の汗腺は主に肉球と鼻のまわりにあるため、人間のように全身で汗をかくことができません。そのため、暑い環境では体温を下げにくく、体内に熱がこもりやすくなります。特に気温や湿度が高い日は体温調整が追いつかず、体調を崩すリスクが高まるとされています。
全身が被毛に覆われている
全身が被毛に覆われていることも、猫に暑さ対策が必要な理由の1つです。被毛には外部の刺激などから皮膚を守る役割があります。一方で、暑い時期には体に熱がこもりやすくなる原因にもなります。
特に温度や湿度が高い環境では、体への負担が大きくなるおそれがあるため注意が必要です。
狭い空間に隠れる習性がある
猫には、家具のすき間やクローゼット、押入れなど、狭く暗い場所に入り込む習性があります。こうした場所は風が通りにくく、夏場は熱がこもりやすいです。飼い主が気づかないうちに猫が狭い場所で長時間過ごし、その結果、体に負担がかかるケースも見受けられます。
猫が暑がっているサイン
猫が暑がっているときは、姿勢や食欲、呼吸の仕方、体の熱さなどに変化が表れます。普段の様子と比べながら、次のような小さな兆候を見逃さないことが大切です。
- 床に体を伸ばして寝る
- 食欲が落ちる
- 耳や肉球が熱くなる
- 口を開けて呼吸している
床に体を伸ばして寝る
猫は暑さを感じると、熱を逃がすために床に体を伸ばして寝ることがあります。特に、フローリングや玄関など、ひんやりした場所へ移動して横になる様子が見られます。
普段より体を長く伸ばして寝ることが増えた場合は、猫が暑がっているサインだといえるでしょう。
食欲が落ちる
人間の夏バテと同じように、猫も暑さで体力を消耗すると食欲が低下します。普段よりごはんを残す、いつも以上に水を飲む、もしくはまったく水を飲まない、元気がないといった変化が見られる場合は、暑さによる不調のサインと考えられます。
耳や肉球が熱くなる
耳や肉球が熱くなるのも、猫の体に熱がこもっているサインです。触れたときにいつもより熱く感じる場合は、暑さによって体温が上がっている兆候といえます。熱中症の初期症状を発症している可能性もあるため、全身の状態と合わせて慎重な観察が求められます。
口を開けて呼吸をしている
通常、猫は口を開けて呼吸することがほとんどありません。それにもかかわらず、口を開けてハアハアしている場合は、体温調整が追いつかず、体に負担がかかっている状態と考えられます。
さらに悪化すると、ぐったりする、よだれが出る、動きが鈍くなるなどの変化が見られることもあります。
猫の暑さ対策で大切なポイントとは?

猫の暑さ対策では、室温管理だけでなく、湿度や日差し、水分補給にも気を配らなければなりません。
- 適切な室温を維持する
- 湿度が高いときは除湿も意識する
- カーテンやすだれで直射日光を遮る
- 涼しい場所へ移動できるようにする
- 水飲み場を複数用意する
適切な室温を維持する
猫の暑さ対策では、室温が高くなりすぎないように管理することが大切です。夏場はエアコンを活用し、猫が快適に過ごせる環境を整えましょう。また、冷えすぎを防ぐために、エアコンの風が直接当たらない場所も用意しておくと安心です。
湿度が高いときは除湿も意識する
湿度が高いときは、室温がそれほど上がっていなくても猫が暑さを感じやすくなります。特に梅雨時や真夏は、エアコンの除湿機能や除湿器を活用し、室内の湿度を適切に保つことが重要です。温度計だけでなく湿度計も使うと、部屋の状況を把握しやすくなります。
カーテンやすだれで直射日光を遮る
直射日光が入る部屋は、部屋の温度が上がりやすくなります。カーテンやすだれを使い、窓から入る日差しを和らげると、室温の上昇を抑えるのに役立ちます。特に、日当たりのよい部屋や西日が差し込む時間帯は、室内が暑くなりすぎないように工夫することが大切です。
涼しい場所へ移動できるようにする
猫は暑さを感じると、フローリングや玄関、日陰など涼しい場所を探して移動します。部屋のドアを開けておくなど、猫が自分で過ごしやすい場所を選べるようにしておきましょう。暑い場所に閉じ込めてしまわないように、移動経路を確保しておくと安心です。
水飲み場を複数用意する
暑い時期は水分不足になりやすいため、水飲み場を複数用意しておくことも大切です。猫がよく過ごす場所や、落ち着ける場所に置くと、自然と水を飲みやすくなります。水はこまめに交換し、清潔な状態を保ちましょう。
猫の暑さ対策をするときの注意点

猫の暑さ対策は、方法を誤るとかえって体に負担をかけることがあります。ここでは、猫の暑さ対策をするときの注意点について見ていきましょう。
- 保冷剤や氷を体に直接当てない
- 短時間でも車内に猫を残さない
- 自己判断でサマーカットをしない
保冷剤や氷を体に直接当てない
保冷剤や氷を猫の体に直接当てると、冷えすぎや凍傷につながるおそれがあります。使用する際はタオルで包み、猫が自由に触れられる場所に置いておくようにしましょう。無理に体へ押し当てたりはせず、猫の様子を見ながら使うことが大切です。
短時間でも車内に猫を残さない
夏場の車内は短時間でも高温になりやすく、猫の体に大きな負担がかかります。エアコンを切った状態で車内に猫を残すことは避けてください。移動の際も、キャリー内に熱がこもらないよう配慮することが重要です。
自己判断でサマーカットをしない
猫の被毛は、直射日光や外部の刺激から皮膚を守る役割を担っています。暑さ対策のつもりで短く刈りすぎると、かえって皮膚に負担がかかるおそれがあります。サマーカットを検討する場合は自己判断で行わず、動物病院やトリミングサロンに相談することをおすすめします。
茶屋ヶ坂動物病院|総合診療科のご案内猫の熱中症が疑われるときの応急処置
猫が口を開けてハアハアと呼吸している、ぐったりしているなど、熱中症が疑われる症状が見られた場合は、早急な対応が必要です。
まずは風通しの良い涼しい部屋へ移動させます。そして濡らしたタオルを体にかけたり、水で濡らしたタオルで包んだ保冷剤を首元・脇の下・足の付け根などに当てたりして体を冷やしましょう。
ただし、冷やしすぎはショック状態を引き起こす危険があるため、冷水や氷水を直接かけるのは避けてください。
自力で水が飲めるようであれば飲ませ、無理な場合は口元を濡らす程度にとどめます。応急処置を行いながら、すみやかに動物病院へ連絡し、受診してください。
猫の暑さ対策に関するよくある質問

猫の暑さ対策や夏の過ごし方に関して、飼い主様からよく寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました。愛犬・愛猫の環境づくりや体調管理にお役立てください。
Q:留守番中のエアコンはつけたままにするべきですか?
A:真夏や湿度の高い時期は、24時間つけっぱなしにしておくのが安心です。人が外出して締め切った室内は、短時間でも急激に室温や湿度が上昇します。
特に近年は夜間も気温が下がりにくいため、タイマーで切るのではなく、設定温度を26〜28℃前後にしてつけっぱなしにしておくことをおすすめします。停電やリモコンの誤作動に備え、ドアを少し開けて涼しい別の部屋へ移動できるようにしておくことも大切です。
Q:エアコンの風が苦手な猫にはどう対処すればいいですか?
A:直接風が当たらない工夫と、猫が避難できる場所をつくりましょう。エアコンの風向きを上向きや水平に設定し、風が直接猫のいる場所に当たらないように調整します。
また、風が届かない隣の部屋や廊下に移動できるようにドアを開けておいたり、ドーム型のベッドやダンボールなどの隠れ家を用意してあげると、猫が自分で風を避けて快適に過ごすことができます。
Q:夏場に猫のブラッシングを増やすのは暑さ対策になりますか?
A:非常に効果的です。こまめなブラッシングをおすすめします。ブラッシングによって不要な抜け毛を取り除くことで、毛の間の通気性が良くなり、体に熱がこもりにくくなります。
また、夏場は毛づくろいの回数が増えてお腹に毛がたまる毛球症を起こしやすいため、抜け毛ケアは暑さ対策と健康管理の両面で重要です。
Q:猫があまり水を飲んでくれない時はどうすればいいですか?
A:水皿の工夫や、食事からの水分補給を試してみましょう。猫は水分の好みにとても敏感です。水皿の素材を変更する、ひげが当たらない広めの形状にする、流れる水が好きな子には循環式自動給水器を使うといった方法などが効果的です。
また、いつものドライフードにぬるま湯をかけたり、ウェットフードや猫用ウエットおやつを活用して食事から水分を摂取させる方法もおすすめです。
猫の暑さ対策は快適に過ごせる環境づくりが大切
猫の暑さ対策では、部屋の温度を適切に保つだけでなく、猫が自分で快適な場所を選べるように、住まいの環境を工夫することが大切です。日差しの入り方や水皿の置き場所などを見直しつつ、こまめに様子を観察し、夏場も無理なく過ごせる空間づくりを心がけましょう。












