犬の涙がいつもより多いと、目に異常があるのではないかと心配になる方も多いのではないでしょうか。犬の涙が増える背景には、異物による刺激のほか、結膜炎や角膜炎、鼻涙管の詰まりなど様々な原因が考えられます。
本記事では、犬の涙が多くなる原因や動物病院を受診する目安、自宅での対処法を分かりやすく解説します。
犬の涙が多くなるのはなぜ?

犬の涙が増える原因としては、主に以下の4つが挙げられます。
- ほこりやゴミなどの異物が目に入っている
- 目の周りの毛やまつ毛が眼球に触れている
- 鼻涙管が詰まって涙を排出できない
- アレルギーや空気の乾燥で目が刺激を受けている
ほこりやゴミなどの異物が目に入っている
ほこりやゴミなどの異物が目に入ると、目の表面を守ろうとして涙の分泌量が増えます。原因となるものが取れれば、涙は次第に落ち着くのが一般的です。一方、異物が目に残り角膜を傷つけると、症状が続く場合もあります。
目の周りの毛やまつ毛が眼球に触れている
目の周りの毛やまつ毛が眼球に触れることも、犬の涙が多くなる原因の1つです。顔周りの毛が伸びて目に入るほか、まつ毛が通常とは異なる位置や方向に生えることで、角膜を傷つけるケースも見られます。
また、眼瞼内反症によってまぶたが内側へ巻き込まれ、まつ毛や周囲の毛が眼球に触れると、継続的な刺激によって涙の量が増える場合があります。
鼻涙管が詰まって涙を排出できない
涙は通常、目頭にある涙点から鼻涙管を通って鼻へ排出されます。しかし、生まれつき鼻涙管が細かったり、炎症によって通り道が狭くなったりすると、涙をうまく排出できません。その結果、涙が多くなることがあります。
また、目の周りの被毛が濡れ続けることで、赤茶色に変色する「涙やけ」につながるケースも見られます。
アレルギーや空気の乾燥で目が刺激を受けている
花粉やハウスダストなどへのアレルギー反応で目に炎症が起こると、涙が増える場合があります。また、空気が乾燥した環境では、目の表面を覆う涙が蒸発して眼球が乾きやすいです。さらに、乾燥による刺激から目を守ろうとして涙が多くなるケースも見られます。
犬の涙が多い場合に考えられる病気
犬の涙が多いときは、目への刺激だけでなく、鼻涙管や角膜、眼圧などに異常が生じていることもあります。
- 鼻涙管閉塞
- 結膜炎・角膜炎
- 眼瞼内反症・異所性睫毛
- 角膜潰瘍・緑内障
鼻涙管閉塞
鼻涙管閉塞は、涙を目から鼻へ流す鼻涙管が塞がり、涙が目からあふれる病気です。生まれつき鼻涙管が狭い、涙点が形成されていないといった先天的な異常のほか、結膜炎や鼻炎による炎症、異物、外傷などが原因で発症します。
主な症状として、片目または両目から涙があふれる、目の周りが濡れる、涙やけが目立つといったものが挙げられます。さらに、細菌感染を伴うと黄色や緑いろの目やにが出る場合もあります。
結膜炎・角膜炎
結膜炎は、まぶたの裏側や白目を覆う結膜に炎症が起こる病気です。細菌やウイルスの感染、アレルギー、異物などが原因となり、涙の増加に加えて充血や目やにが見られます。
一方、角膜炎は眼球の表面を覆う角膜に傷や炎症が生じた状態です。強い痛みを伴うことが多く、目を細める、前足でこする、光をまぶしがるなどの症状が現れます。悪化すると視力に影響するおそれもあるため、早めの受診が必要です。
眼瞼内反症・異所性睫毛
眼瞼内反症は、まぶたが内側に巻き込まれ、まつ毛や周囲の毛が眼球に触れる病気です。また、異所性睫毛は、まぶたの裏側にある結膜から生えたまつ毛が、角膜に接触する状態を指します。
いずれも角膜への刺激によって涙が増えるほか、目を細める、頻繁にまばたきをする、前足で目をこするなどの症状が見られることがあります。
角膜潰瘍・緑内障
角膜潰瘍は、角膜の傷が深くなり、組織の一部が欠損した状態です。強い痛みを伴い、涙が多くなるほか、目を開けにくそうにする、黒目が白く濁るなどの症状が見られます。
緑内障は、眼圧の上昇によって視神経や網膜が障害される病気で、目の充血や痛み、眼球が大きく見えるといった変化が現れます。いずれも治療が遅れると視力を失うおそれがあるため、異変に気づいたら速やかに動物病院を受診しましょう。
茶屋ヶ坂動物病院|眼科のご案内犬の涙で動物病院を受診する目安

犬の涙が増えているときは、涙以外の症状や普段と異なるしぐさにも注意を払うことが大切です。
- 片目だけ涙が多い
- 目やにが黄色や緑色
- 目をこする
- 充血している
片目だけ涙が多い
片目だけ涙が多い場合は、目に異物が入っている、角膜に傷がついているなどの原因が考えられます。また、まつ毛の異常や鼻涙管の詰まりによって、片側だけに症状が現れることもあります。
左右の涙の量に明らかな差があり、症状が続くときは、獣医師に相談すると安心です。
目やにが黄色や緑色
涙が多いだけでなく、黄色や緑色の目やにが出る場合は、細菌感染や結膜炎などの目の異常が疑われます。目やにに粘り気がある、量が増えた、目の周りに固まって付着しているなどの変化がみられるときは、早めに獣医師の診察を受けましょう。
充血や腫れ、目を開けにくそうにする様子が見られる場合も注意が必要です。
目をこする
犬が前足で目をこするしぐさは、目に痛みやかゆみ、異物感があるサインです。目を細める、充血している、黒目が濁っているなどの症状があるときや、目をこする動作を繰り返すときは、動物病院の受診をおすすめします。
放置すると角膜の傷や炎症が悪化するおそれがあるため、早めの対応を心がけてください。
充血している
白目やまぶたの裏側が赤く充血しているときは、結膜炎や角膜の傷、緑内障などが疑われます。軽い充血に見えても、早急な治療を要する病気が隠れている場合があるため、自己判断で様子を見るのは避けましょう。
特に、涙の量が増えた、目を細めている、光をまぶしがる、黒目の表面が白く濁っているなどの症状を伴うときは、速やかな受診が望まれます。
茶屋ヶ坂動物病院|眼科のご案内犬の涙が多いときの対処法
犬の涙が多いときは、目元を清潔に保ったり、目を傷つけたりしないように対処しなければなりません。本章では、自宅で行える主なケアを紹介します。
- 清潔なガーゼで涙をやさしく拭き取る
- 目の周りの毛を整えて清潔に保つ
- 目をこすらないように保護する
清潔なガーゼで涙をやさしく拭き取る
犬の涙が多いときは、清潔なガーゼをぬるま湯で湿らせ、目頭から目尻に向かって優しく拭き取ります。乾いて固まった目やには無理に剥がさず、十分にふやかしてから取り除いてください。
強くこすりすぎると、皮膚や眼球を傷つけるおそれがあるため注意しましょう。左右の目で同じガーゼを使わず、拭くたびにきれいな面へ替えることもポイントです。
目の周りの毛を整えて清潔に保つ
目の周りの毛が伸びていると、毛先が眼球に触れて刺激になったり、涙で濡れた毛に汚れが付着したりすることがあります。トラブルを防ぐためにも、定期的に毛を整え、目元を清潔に保つようにしましょう。
自宅でのカットは犬の目を傷つける危険があるため、トリマーに依頼することをおすすめします。
目をこすらないように保護する
症状の悪化を防ぐためには、犬が目をこすらないように保護することも重要です。目をこすり続けると、角膜に傷がついたり、炎症が悪化したりするおそれがあります。
前足で目を触る、床や家具に顔を擦りつけるなどの行動が見られたら、早めに動物病院を受診し、獣医師の指示に従ってエリザベスカラーなどの保護具を装着しましょう。
犬の涙に関するよくある質問

愛犬の涙の量や目元のケアに関して、飼い主様からよくいただく質問にお答えします。
Q:市販の犬用洗眼液で目を洗っても大丈夫ですか?
A:目の表面を流す程度の短時間の洗い流しであれば問題ない場合もありますが、角膜に傷がある場合は逆効果になる恐れがあります。自己判断での使用は控え、まずはぬるま湯で湿らせたガーゼで目元を優しく拭き取る程度にとどめ、獣医師に相談してください。
Q:トイ・プードルやチワワは、なぜ他の犬種より涙が出やすいのですか?
A:小型犬や短頭種は、生まれつき鼻涙管が細かったり、骨格の構造上眼球がやや突出していてまぶたの隙間に涙が溜まりやすかったりするためです。体質的な要因も大きいため、日頃からの目元の清拭ケアが重要になります。
Q:フードを変えると涙やけや流涙が改善することはありますか?
A:食物アレルギーや、フードに含まれる添加物・タンパク質の種類が関係して過剰な涙や涙やけを起こしている場合は、フードの見直しによって改善することがあります。
ただし、鼻涙管の閉塞など構造的な問題が原因のケースもあるため、病院で原因を特定したうえで検討しましょう。
Q:涙やけの拭き取りに人間用のウェットティッシュを使ってもいいですか?
A:人間用のウェットティッシュにはアルコールや香料、殺菌成分などが含まれており、犬の目に入ると強い刺激や角膜障害の原因になります。必ずペット用の低刺激・ノンアルコールのものか、ぬるま湯で湿らせた清潔なガーゼを使用してください。
犬の涙が多いときは目の状態をチェック
犬の涙が増える原因は、異物や毛による刺激、鼻涙管の詰まり、目の病気などさまざまです。原因を見極めるには、涙の量に加え、目ヤニや充血、目をこするしぐさの有無なども確認しなければなりません。
片目だけ涙が多い、目が腫れている、黒目が濁っているなど、普段と異なる様子が見られたときは、動物病院を受診して獣医師の診察を受けるようにしてください。













