猫のマーキングは、自分の縄張りを示したり、発情期に異性へ存在を知らせたりするための本能的な行動です。一方で、トイレ以外での排尿にはストレスや病気が関係している場合もあります。

本記事では、マーキングの特徴や原因、やめさせるための対策、動物病院を受診する目安をわかりやすく解説します。

猫のマーキングとは?

マーキングとは、自分のにおいを残し、縄張りや存在を周囲に示すための行動です。壁や家具などに少量の尿を吹きかけるスプレー行動のほか、頬や体を物にこすり付けたり、爪をといだりする行為も含まれます。

尿によるマーキングは通常の排尿より量が少なく、においが強い点が特徴です。

猫のマーキング行為の特徴

猫のマーキングは、主に次の2つに分けられます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

  • スプレー行動
  • 擦り付け・爪とぎ

スプレー行動

スプレー行動は、壁や家具などに尿のにおいを付け、自分の存在や情報を周りに伝えるマーキングです。目的の場所にお尻を向け、立ったまま尻尾を上げて小刻みに震わせながら、少量の尿を吹き付けます。

腰を落として一定量の尿を出す通常の排尿とは、姿勢や尿の量、場所などが異なります。

擦り付け・爪とぎ

擦り付けや爪とぎも、猫のマーキングの一種です。擦り付けでは、頬や額、あごを人や家具にこすり付け、顔周辺の臭腺から分泌されるにおいを付着させます。この行動には、自分のにおいで安心したり、親愛の気持ちを表したりする意味も含まれます。

一方、爪とぎでは、肉球周辺の臭腺から出るにおいと爪痕の両方を残し、自分の存在を示します。爪とぎにはマーキングだけでなく、爪の手入れや気分を落ち着かせる役割もあると考えられています。

猫のマーキングとトイレの失敗を見分けるポイント

猫のマーキングと通常のトイレの失敗は一見するととてもよく似ており、飼い主が混同してしまいやすい行動です。しかし、排尿時に以下のようなポイントを注意深く観察することで、どちらなのかを見分けやすくなります。

  • 姿勢や尿をかける場所
  • 尿の量や回数
  • 排尿異常が見られる場合は注意が必要

姿勢や尿をかける場所

マーキングでは、猫は立ったまま壁や家具などにお尻を向け、尻尾を上げて少量の尿を吹き付けます。一方、トイレを失敗してしまう際は通常の排尿と同じように腰を落とし、床や布団、カーペットなどの平らな場所にまとまった量の尿を出します。

行動時の姿勢と尿が付着した場所を確認すると、両者を見分けやすくなります。 

尿の量や回数

尿の量や回数も、マーキングとトイレの失敗を見分ける際のポイントです。マーキングでは、1回に出る尿は数滴程度と少なく、複数の場所に繰り返し尿を付ける傾向が見られます。トイレの失敗では、通常の排尿と同じ程度の量を一度に出すのが一般的です。

排尿異常が見られる場合は注意が必要

トイレに何度も入るものの尿がほとんど出ない、血尿が見られる、排尿時に鳴くといった場合は、膀胱炎や尿路結石などの病気が原因となっているおそれがあります。特に、排尿姿勢を取っても尿が出ない状態は緊急性が高いため、速やかに動物病院を受診してください。

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猫がマーキングをする原因

猫がマーキングをする原因は、主に以下の2つに分けられます。それぞれ、どのような状況で起こりやすいのかを見ていきましょう。

  • 縄張りを主張している
  • 発情期を迎えている

縄張りを主張している

猫は自分の縄張りを示すため、尿や体のにおいを周囲に残します。特に、外にいる野良猫の気配を感じたり、新しいペットや人が家に来たりすると、縄張りを脅かされたと感じてマーキングをすることがあります。

新しい家具を置いたときや部屋の模様替えをしたときには、慣れない環境に自分のにおいを付けて安心しようとするケースも見られます。

発情期を迎えている

発情期を迎えた未去勢のオスや未避妊のメスは、異性に自分の存在や繁殖可能な状態を知らせるため、尿によるマーキングを行う場合があります。特にオスは、性成熟に伴ってスプレー行動が増えやすく、尿のにおいも強くなりやすいです。

猫のマーキングをやめさせる方法

猫のマーキングをやめさせるには、原因に応じた対策と、尿のにおいを残さないための処理が欠かせません。ここでは、マーキングの予防や軽減につながる主な方法を紹介します。

  • 去勢・避妊手術を行う
  • マーキングした場所のにおいを取り除く

去勢・避妊手術を行う

猫が性成熟を迎えると性ホルモンの分泌が活発になり、異性に自分の存在や繁殖できる状態を伝えるため、尿によるマーキングが増えやすくなります。

去勢・避妊手術は性ホルモンの分泌を抑え、発情に伴うマーキングを軽減する有効な方法です。発情やスプレー行動が始まる前に手術を受けることで、予防効果を期待できます。

ただし、すでに習慣化している場合や不安やストレスといった別の要因がある場合は、手術後もマーキングが続くことがあります。

マーキングした場所のにおいを取り除く

マーキングのにおいが残っていると、猫が同じ場所で再びマーキングをする原因になります。

においを取り除くには、乾いた布やペーパーで尿を押さえるように吸い取り、クエン酸水やペット用の酵素系消臭剤を使って丁寧に処理することが大切です。尿が広がらないように、こすらず拭き取るようにしましょう。

なお、アンモニア系の洗剤は尿のにおいに似ているため、かえって猫のマーキングを誘発するおそれがあります。また、塩素系漂白剤も強い刺激臭で猫にストレスを与えるため、使用を控えてください。

猫のマーキングで動物病院を受診する目安

猫のマーキングには、病気やストレスが関係しているケースもあります。本章では、動物病院を受診する目安をお伝えします。

  • 排尿時に痛がる様子や血尿が見られる
  • 対策を続けてもマーキングが改善しない

排尿時に痛がる様子や血尿が見られる

マーキングをしているように見えても、排尿時に鳴く、苦しそうにする、血尿が出るといった症状が見られる場合は、膀胱炎や尿石症などの病気が疑われます。何度もトイレに行くのに少量しか出ないといったケースも注意が必要です。

特に、尿がまったく出ない状態は尿道閉塞のおそれがあり、最悪の場合は命に関わるため、速やかに動物病院を受診しましょう。

対策を続けてもマーキングが改善しない

猫が過ごしやすい環境を整えたり、においを除去したりしても2週間~1ヶ月以上マーキングが続く場合は、動物病院へ相談することをおすすめします。

膀胱炎や尿石症などの病気のほか、強いストレスが関係していることも考えられるためです。尿検査や超音波検査で身体的な異常の有無を調べ、病気が見つからない場合は生活環境や行動面から原因を探り、適切な治療や対策につなげます。

猫のマーキング対策に役立つよくある質問

猫のマーキングやスプレー行動に関して、飼い主様から寄せられる代表的な疑問にお答えします。

Q:去勢・避妊手術をすれば、スプレー行動は必ず治まりますか?

A:発情や性ホルモンが原因であれば、去勢・避妊手術によって約80〜90%の確率で治まるか軽減されます。ただし、手術前にスプレー行為が完全に習慣化してしまっている場合や、ストレス・縄張り意識が主な要因である場合は、術後も残ることがあります。

Q:何歳頃から部屋での尿スプレー対策を始めるべきですか?

A:性成熟を迎える生後6ヶ月〜10ヶ月頃に始まることが多いため、それ以前の対策が効果的です。未然に防ぐことで、行動の定着を防止できます。

Q:メス猫でも壁へのおしっこ問題は起こりますか?

A:はい、メス猫でも起こります。オスほど頻度は高くありませんが、発情期にオスの気を引くためや、同居猫とのトラブル・環境変化による強いストレスを感じた際に、壁や家具へ尿を吹きかけるケースがあります。

Q:多頭飼いを始めてからトラブルが増えました。

A:新しい猫の登場でパーソナルスペースが脅かされ、ストレスを感じている可能性が高いです。トイレの数を「頭数+1個」に増やし、ご飯や水飲み場を分散させるなど、お互いに縄張りを意識しすぎない環境を整えて様子を見てください。

猫のマーキングは原因に合わせて対処しよう

猫のマーキングには、縄張りの主張や発情期のアピールなど、さまざまな原因があります。行動の様子を観察し、原因に応じて去勢・避妊手術やにおいの除去などの対策を取り入れることが重要です。

また、排尿時の痛みや血尿が見られる場合や、対策を続けても改善しない場合は、マーキング以外の原因が考えられるため、早めに動物病院を受診しましょう。

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