猫の年齢は、見た目だけでは正確に判断できません。特に保護猫や野良猫など、生年月日がわからない場合は、体の特徴や行動の変化を手がかりに推測する必要があります。
歯や目、被毛、体型などには年齢による違いが表れるため、注意深く観察することでおおよその年齢を推測することが可能です。
本記事では、猫の見た目や行動から年齢を見分けるポイントをわかりやすく解説します。
猫の年齢の見分け方とは?

猫の年齢を知ることは、健康管理や食事内容を考えるうえでとても大切です。しかし、保護猫や野良猫など、生年月日がわからない場合も少なくありません。そんなときは、体の特徴や見た目の変化を観察することで、おおよその年齢を推測できます。
ここでは、猫の年齢を見分けるための主なポイントを紹介します。
- 歯の状態
- 目の状態
- 被毛の状態
- 体型や顔つき
歯の状態
猫の年齢を判断するうえで、最もわかりやすいのが「歯の状態」です。
猫の乳歯は生後2週間ほどで生えはじめ、生後2ヶ月頃までにすべて生えそろいます。その後、生後3~8ヶ月にかけて乳歯から永久歯に生え変わるため、この時期の歯の生え具合から子猫の月齢をおおよそ判断することが可能です。
永久歯がすべて生えそろったあとは、歯の色や摩耗具合が年齢の目安になります。真っ白な歯をしている場合は1歳前後の若い猫である可能性が高く、少し黄ばみが見られれば2~3歳前後、歯石が目立つようになると3歳以上と考えられます。
さらに、歯の先端がすり減って丸くなっていたり、何本か抜けていたりする場合は5歳以上、歯肉炎が見られるようであれば7~8歳以上の高齢猫と推測することが一般的です。
ただし、野良猫など外で暮らす猫は歯の老化が早い傾向があるため、あくまで目安として見ることが大切です。
目の状態
猫の年齢を判断する際は、目の状態を観察するのも有効な方法です。子猫は生後およそ1週間で目が開き、2週間ほど経つと視力が発達していきます。目の前で動くものをしっかり追えるようなら、生後2週間を過ぎていると考えられます。
また、生まれて間もない子猫の目は「キトンブルー」と呼ばれる鮮やかな青色をしています。これは虹彩に色素がまだ十分に沈着していないためです。生後1〜2ヶ月ほど経つと次第に本来の目の色へと変化するので、青い目をしている場合は、生後2ヶ月以内の子猫である可能性が高いといえます。
一方、成猫や高齢猫では目の様子にも変化が見られます。若い猫は透明感のある澄んだ目をしていますが、年を重ねた高齢猫は、白く霞んだり、涙や目ヤニが増えたりするのが特徴です。さらに、虹彩にシミのような斑点が見える場合も加齢のサインの一つです。
こうした特徴が見られる猫は、11歳を超える高齢猫であることが多いとされています。
被毛の状態
被毛の状態も、猫の年齢を見分けるポイントのひとつです。
若い猫の毛はやわらかく、なめらかでツヤがありますが、年齢を重ねるにつれて水分や油分が減り、パサついたりゴワついたりしてきます。シニア期になると毛の色が薄くなったり、部分的に白髪が混じることもあります。
ただし、野良猫や外に出る猫は、栄養状態や環境の影響で若くても毛が荒れて見えるケースもあるため、被毛の状態はあくまで目安として観察することが大切です。
体型や顔つき
猫の体型や顔つきも、年齢を判断する大きな手がかりです。生後半年以内の子猫は体が小さく、頭が大きめで目・鼻・口の距離が近く、全体的に幼い印象を与えます。成長とともに体がしっかりし、バランスの取れた顔立ちになっていきます。
若い成猫(1〜7歳)は筋肉が発達し、引き締まった体つきをしていますが、8〜10歳頃になるとやや丸みを帯びた体型になる傾向があります。
さらに高齢になると筋肉量が減り、皮膚がたるんで骨ばった印象に変わっていきます。頬がこけたり体の張りがなくなってきたら、11歳以上のシニア猫の可能性が高いといえるでしょう。
猫の成長段階は年齢ごとに変わる

猫は年齢によって体の状態や性格、必要なケアが大きく変化します。成長の段階ごとに特徴を理解しておくと、健康管理や食事の見直し、快適な生活環境づくりに役立てることが可能です。
ここでは、猫のライフステージを「子猫期」「成猫期」「シニア期」に分けて、それぞれの特徴とお世話のポイントを見ていきましょう。
- 子猫期(生後0~12ヶ月)
- 成猫期(1~6歳)
- シニア期(7歳~)
子猫期(生後0~12ヶ月)
生まれてから1歳になるまでの子猫は、心も体も大きく成長する大切な時期です。生後2週間〜2ヶ月頃までは「猫の社会化期」と呼ばれ、さまざまな刺激を通して性格が形作られていきます。
この時期に人の手や生活音、環境に慣れさせることで、人懐っこく育ちやすくなります。特に口まわりや足先を触る習慣をつけておくと、歯磨きや爪切りなどのケアを行う際に役立ちます。
子猫は好奇心旺盛で何でも口に入れようとするので、誤飲事故を防ぐ工夫も必要です。免疫力もまだ十分ではない時期なので、ワクチン接種を含めた健康管理をしっかり行いましょう。
また、生後6〜10ヶ月頃には初めての発情期を迎えることが多いため、繁殖を希望しない場合は、この時期に避妊・去勢手術を検討しておくと安心です。
成猫期(1~6歳)
1歳を過ぎると体の成長が落ち着き、見た目も行動も大人の猫らしくなります。1歳半頃には性格が安定し、甘えん坊で遊び好きなタイプや、マイペースで落ち着いたタイプなど、それぞれの個性がはっきりしてくるでしょう。
この年代の猫は体力と活動量が最も高く、よく遊び、よく食べる傾向があります。夜に突然テンションが上がって走り回るなど、やんちゃな一面を見せることもあるでしょう。そのため、運動不足を防ぐためにも、遊び道具や環境づくりが大切です。
また、フードは子猫用から成猫用に切り替えましょう。栄養バランスを考えた食事を与え、おやつの量にも注意が必要です。
シニア期(7歳~)
7歳を過ぎた頃から、猫は少しずつシニア期に入り、体や性格にも変化が現れます。これまで活発だった猫も落ち着きが出てきて、1日の多くを寝て過ごすようになります。11歳を超える頃には食欲や活動量が減り、若い頃のように走り回る姿もあまり見られません。
この時期は体力の低下や病気のリスクが高まるため、年1~2回を目安に健康診断を受け、体調の変化を早めに把握することが大切です。フードは高齢猫用に切り替え、関節や内臓への負担を減らす栄養バランスを意識しましょう。また、家の中の段差を少なくする、寝床をあたたかく保つなど、体への負担を和らげる環境づくりも重要です。
猫の見た目や行動でわかる老化のサイン
人間と同じように、猫も年齢を重ねるにつれて体にさまざまな変化が現れます。食事量が減ったり、眠る時間が長くなったりする場合は、老化が始まっているサインかもしれません。
また、被毛のツヤがなくなる、歯の黄ばみや口臭が強くなる、目ヤニが増える、体にハリがなくなり皮膚がたるむなど、見た目の変化にも注意が必要です。
愛猫がシニア期に入ったら、それまで以上に日常の様子をよく観察し、小さな変化にも早めに気づいてあげることが大切です。
猫の健康寿命を延ばすためにできること

猫ができるだけ長く健康に暮らすためには、食事や運動、健康チェックなどのケアが重要です。ここでは、猫の健康寿命を延ばすためにできることを紹介します。
- 年齢や体の状態に合った食事を与える
- 定期的な健康チェックを欠かさない
- 適度な運動を取り入れる
年齢や体の状態に合った食事を与える
猫の健康を維持するためには、毎日の食事がとても重要です。主食には「総合栄養食」と表示されたフードを選ぶようにしましょう。総合栄養食には、猫に必要な栄養素がバランスよく含まれています。
また、猫の年齢や体型、健康状態に合わせてフードを選ぶことも大切なポイントです。子猫・成猫・シニア猫では必要な栄養が異なるため、ライフステージに合ったものを与えるようにしましょう。
さらに、フードの形状も猫の性格や体調に合わせて選ぶと安心です。水をあまり飲まない猫にはウェットタイプのフードを取り入れると、水分補給の助けになります。
定期的な健康チェックを欠かさない
猫は体調の変化を隠す習性があるため、見た目だけで健康状態を判断するのは難しい動物です。だからこそ、愛猫の年齢が7歳を過ぎた頃からは、見た目や行動に変化がなくても、体の内部では少しずつ老化が進んでいることを意識しておく必要があります。
シニア期に入ったら、年1〜2回を目安に動物病院で健康診断を受け、病気の早期発見・早期治療に努めましょう。特に、腎臓病や尿路結石などの泌尿器疾患、糖尿病や甲状腺機能亢進症といった内分泌疾患は、高齢猫に多く見られる疾患のため注意が必要です。
また、歯周病や関節炎、皮膚のトラブルなども放置すると悪化しやすいため、日常的に体の様子を観察し、定期的なチェックを欠かさないことが大切です。
適度な運動を取り入れる
猫はもともと狩猟本能が強く、体を動かすことでストレスを発散し、心身の健康を保っています。そのため、室内飼いの猫でも日常的に体を動かせるように工夫することが必要です。
十分なスペースがない場合でも、猫じゃらしやボールなどのおもちゃを使えば、遊びながら自然と運動量を増やすことができます。若い猫はエネルギーが有り余っているため、遊びを通して体を動かす時間をしっかり確保しましょう。
シニア猫には、ゆっくりおもちゃを追わせる程度の軽い遊びや、体をほぐすストレッチのような動きが適しています。年齢や体調に合わせた運動を取り入れることが、筋力の維持やストレスの軽減につながります。
猫の年齢の見分け方を理解して適切なケアに役立てよう
猫の年齢を知ることは、健康管理や食事内容を見直すうえで欠かせません。生年月日がはっきりしない猫であっても、歯や目、被毛、体型などの変化を観察すれば、おおよその年齢を推測することができます。
ライフステージによって必要な栄養や運動量、ケアの方法は異なるため、年齢に合わせて適切な生活環境を整えることが重要です。日頃から愛猫の様子をよく観察し、小さな変化にも気づけるようにしておくことが、健やかな毎日のサポートに結びつきます。












