愛犬が元気をなくしたり、食欲が落ちたりすると、「もしかしてうつ状態なのでは」と不安に感じる方もいるでしょう。犬にもストレスや環境の変化によって、気分が落ち込んだような様子が見られることがあります。

本記事では、犬の「うつ病」と呼ばれる状態について、主な症状や原因を整理するとともに、具体的な対処法をわかりやすく解説します。

犬にも「うつ病」はある?

犬も人と同じように、気分が落ち込んだような様子を見せることがあります。一般的には「うつ病」と呼ばれることもありますが、正式な病名として定義されているものではなく、ストレスによる行動の変化として考えられています。

食欲が落ちる、動きが鈍くなるといった変化は、心の問題だけでなく体調不良が原因の場合もあるため、違和感に気づいたら犬の様子をしっかりチェックすることが大切です。 

犬の「うつ病」の症状とは?

犬のうつ状態は、日常のささいな変化としてあらわれることが多く、見過ごされやすい傾向があります。ここでは、犬がうつ状態のときに見られやすい代表的な症状について紹介します。

  • 元気がなくなる
  • 食欲が低下する
  • 睡眠時間の変化
  • 無気力になる
  • 問題行動が増える

元気がなくなる

普段は活発に動いている犬が、急に動きたがらなくなる場合は注意が必要です。一時的な疲れであれば自然に回復しますが、こうした状態が数日以上続く場合は、ストレスや体調不良が影響している可能性があります。

食欲が低下する

食欲の低下も、犬がうつ状態に陥っているサインの1つです。これまでよく食べていた犬が急に食べ残すようになったり、好きなおやつにも反応しなくなったりすることがあります。

さらに、目の前にフードを置いても口をつけない、途中で食べるのをやめるなど、食べ方に変化が見られるケースも見受けられます。 

睡眠時間の変化

犬は通常、1日に12~14時間ほど眠るとされていますが、以前と比べて睡眠時間に大きな変化が見られる場合は注意が必要です。散歩や食事の時間でも起きようとせず、1日の大半を寝て過ごしているときは、体調の変化が疑われます。

また、反対に何度も起きるなど眠りが浅くなるケースも見逃せない変化です。 

無気力になる

犬がうつ状態になると、物事に対する意欲が低下するケースも見られます。これまで楽しんでいた遊びや散歩に関心を示さなくなり、呼びかけへの反応が鈍くなるなどの変化が現れることがあります。

動かずにじっとしている時間が増え、お気に入りのおもちゃにも興味を示さなくなった場合は、慎重に様子を見守ることが大切です。

問題行動が増える

犬の様子の変化として、これまで見られなかった問題行動が増えることもあります。吠える回数が増える・夜間や留守中に鳴き続けるなど、鳴き方に変化が現れたり、家具をかじる・物を壊すといった行動が目立つケースも見受けられます。

犬の「うつ病」の原因とは?

犬のうつ状態は、以下のようなさまざまな要因によって引き起こされると考えられています。

  • 環境の変化
  • 飼い主との関係性
  • 運動不足
  • トラウマや恐怖体験
  • 身体的な病気 

環境の変化

犬がうつ状態になる原因の1つとして、環境の変化が挙げられます。引っ越しによって住む場所が変わったり、結婚や出産による家族の増加、進学や転勤による同居家族との別れなどで関わり方が変化したりすると、不安や戸惑いを感じやすくなると考えられています。

飼い主との関係性

犬の心の状態は、飼い主との関係性にも大きく左右されます。スキンシップが減ったり、留守番の時間が長くなったりすると、不安や寂しさを抱きやすいです。また、飼い主のストレスや緊張が伝わることで、犬の気持ちも不安定になることがあります。

さらに、叱られることが増えるなど関わり方が変わると、これまで得ていた安心感が薄れ、心に影響を与える要因となります。

運動不足

散歩の回数や時間が十分でない、室内で自由に動き回れない、遊びの時間が少ないといった状況が続くと、エネルギーを発散できず不満が溜まりやすくなります。特に活動量の多い犬は影響が出やすいため、日常的に運動の機会を確保することが求められます。

トラウマや恐怖体験

過去に強い恐怖を感じた出来事がトラウマとなり、その後の行動や心理に影響を及ぼすこともあります。たとえば、他の犬に襲われた経験や乱暴な扱いを受けた記憶、大きな音や事故、災害などがきっかけとなり、うつ状態に陥るケースも見られます。

こうした影響は長く残ることもあるため、丁寧に様子を見守る姿勢が不可欠です。 

身体的な病気

脳の疾患やホルモンバランスの乱れ、関節炎や歯周病といった身体的な病気が原因で、活動量や気力が低下し、うつ状態のように見えることもあります。

元気がない、食欲が落ちる、体重が減るといった症状が続く場合は、体の不調が関係している可能性も考えられます。気になる変化が見られるときは、早めに動物病院を受診すると安心です。 

犬が「うつ病」になったときの対処法とは?

犬にうつ状態のような変化が見られた場合は、日常の接し方や生活環境を見直しながら、適切に対応していくことが大切です。

  • 生活環境を見直す
  • スキンシップを増やす
  • 専門家に相談する

生活環境を見直す

犬にうつ状態が見られるときは、生活環境を見直してみましょう。テレビや生活音が大きすぎないか、室温は適度に調整されているか、ケージが人の出入りの多い場所に置かれていないかなど、犬の負担となる要素がないかを確認することが大切です。

また、引っ越しなどで環境が変わった場合は、飼い主と過ごす時間を増やしながら、少しずつ新しい状況に慣れるようにサポートしていく姿勢が求められます。 

スキンシップを増やす

スキンシップを増やすことも、犬の不安をやわらげる効果的な方法です。耳の付け根や背中などをやさしく撫でたり、ブラッシングや軽いマッサージを行ったりすることで、犬に安心感を与えやすくなります。

さらに、意識的に声をかけたり、一緒に遊んだりすることも、心の安定につながると考えられています。犬の様子に合わせて、無理のない関わり方を心がけましょう。 

専門家に相談する

症状が続く場合は、専門家に相談することも大切です。身体的な病気が隠れていないかを確認することで、不調の原因を特定しやすくなります。必要に応じて、無駄吠えや分離不安への対応方法、日常の過ごし方の工夫など、具体的なアドバイスを受けることも可能です。

愛犬の健康を守るためにも、自己判断で様子見を続けるのではなく、様子がおかしいと感じるときは専門家の意見を取り入れることが重要です。

犬のうつ状態に関するよくある質問

愛犬の様子がいつもと違うと感じたとき、飼い主さんから特によく寄せられる質問をまとめました。

Q1:愛犬がうつ状態のとき、ドッグランや散歩に連れて行くべきですか?

逆効果になるおそれがあるため、無理に連れ出すのはやめましょう。まずは家の中で安心させてあげることが最優先です。良かれと思って刺激の多いドッグランなどに連れて行くと、心身が疲弊している犬にとってはさらに大きなストレスになってしまいます。

Q2:飼い主の気分の落ち込みやイライラは、犬にうつを伝染させますか?

大いに関係があります。犬は人間の感情や部屋の空気を非常に敏感に察知します。

犬は共感能力がとても高い動物です。大好きな飼い主さんが悲しんでいたり、ストレスでピリピリしていたりすると、犬も「大好きな人が元気がない」「何か恐ろしいことが起きているのかもしれない」と不安になり、元気をなくしてしまうことがあります。

Q3:うつ状態なのか、どこかが痛いのかを見分けるコツはありますか?

触ろうとしたときの反応や、特定の動作での違和感をチェックしてください。

単なる気分の落ち込みであれば、優しく撫でると受け入れてくれることが多いです。しかし、身体のどこかに痛みがある場合は、特定の場所を触ろうとしたときに「ウゥーと唸る」「ビクッとする」「手元から逃げる」といった拒絶反応を見せる傾向があります。

犬のうつ状態を見過ごさない

犬のうつ状態は、元気のなさや食欲の低下といった症状としてあらわれることが多く、こうした変化に早めに気づくことが重要です。

原因は生活環境や飼い主との関係性、体調の変化など多岐にわたるため、犬の様子をよく観察したうえで適切な対応が求められます。気になる症状が続く場合は、動物病院を受診するなど専門家の意見を取り入れるようにしましょう。