「大切な愛犬と少しでも長く一緒に過ごしたい」そんな思いを持つ飼い主さんは多いのではないでしょうか。栄養管理や医療の進歩によって、犬の平均寿命は年々延びています。一方、犬種や体の大きさ、生活環境によって寿命の長さが左右されるのも事実です。

本記事では、犬の平均寿命を犬種別に紹介するとともに、長生きの秘訣を分かりやすく解説します。

犬の年齢を人間に置き換えると?

犬の年齢を人間に置き換えると、生後1年半ほどで成犬となり、2歳の時点で人間の24歳前後に相当すると考えられています。その後は体格によって加齢のペースが変化し、小型犬は1年で約4歳、中型犬は約5歳、大型犬は約7歳分ずつ年を取っていきます。

一般的に小型犬は10歳頃から、大型犬は6〜7歳頃から高齢期に入るため、ライフステージに合った食事や運動管理が健康維持のためには重要です。

犬の平均寿命は?

犬の平均寿命は、体の大きさや犬種によって大きく異なります。小型犬のほうが長生きしやすく、大型犬になるほど寿命が短くなることが一般的です。これには、体のサイズや臓器への負担、遺伝的な要因などが影響していると考えられています。

ここでは、小型犬と中型犬・大型犬に分けて、それぞれの平均寿命や特徴を紹介します。

  • 小型犬の寿命
  • 中型犬・大型犬の寿命

小型犬の寿命

小型犬の平均寿命はおよそ14〜15歳といわれています。中でもトイプードルやミニチュアダックスフンドなどは比較的長生きする犬種です。

一方、フレンチブルドッグやパグ、ボストンテリアといった短頭種は、遺伝的に呼吸器系などの病気を発症しやすく、平均寿命がやや短めとされています。

中型犬・大型犬の寿命

中型犬・大型犬の平均寿命はおよそ13〜14歳といわれており、小型犬よりもやや短めです。ラブラドールレトリバーなどは比較的長生きですが、バーニーズマウンテンドッグのように寿命が短い犬種もいます。

特に、遺伝的に病気を発症しやすい犬種を飼う場合は、定期的な健康診断や体調管理が大切です。日頃から体調の変化に注意し、早めのケアを心がけることが長寿につながります。

オスとメスで寿命に違いはある?

一般的に、犬のオスとメスで寿命に大きな差はないといわれています。ただし、避妊手術や去勢手術の有無によって寿命に違いが出ることが研究で明らかになっているのです。

アメリカ・ジョージア大学の調査では、不妊手術を行ったメス犬は平均で約26%、オス犬は約14%寿命が延びたという結果が示され、健康維持にも効果的と考えられています。

参考:Reproductive Capability Is Associated with Lifespan and Cause of Death in Companion Dogs – PMC

MIX犬は純血種より長生きする?

MIX犬はさまざまな遺伝的背景を持つことから、体が丈夫で長生きしやすいといわれています。しかし、実際のデータを見ると、体重10kg未満のMIX犬の平均寿命は約14.8歳、10〜20kgのMIX犬では約13.9歳と、純血種とほぼ同じ結果です。

特に小型犬は、MIX犬でなくても寿命が延びているため、大きな違いは見られません。そのため、MIX犬であるかどうかは、寿命に大きく影響しないと考えられています。

犬の平均寿命は長くなっている

近年、犬の平均寿命は大きく延びており、現在では12〜15歳ほどといわれています。ドッグフードの品質向上による栄養バランスの改善や、動物医療の進歩、室内飼育の普及などが大きな理由です。

なかでも小型犬は大型犬より長生きしやすく、チワワやトイ・プードルの中には20歳を超える長寿の犬も報告されています。

寿命が長い犬種

犬の寿命は体の大きさや犬種によって異なります。一般的に、超小型犬・小型犬は中型犬・大型犬より平均寿命が長い傾向にあり、飼い主との時間をより長く楽しめるケースが多いです。

ここでは、体の大きさごとに、寿命が長い犬種を紹介します。

  • 超小型犬
  • 小型犬
  • 中型犬・大型犬

超小型犬

超小型犬は、ほかの犬種に比べて寿命が長い傾向があり、平均寿命も高めです。なかでもチワワ、ヨークシャーテリア、トイプードルなどは長生きしやすいことで知られています。

特にトイプードルは健康管理をしっかり行えば15歳前後まで生きることも多く、長く寄り添えるパートナーを求める人にぴったりの犬種といえるでしょう。

小型犬

小型犬は、超小型犬に次いで長生きする傾向があり、平均寿命も14歳前後といわれています。なかでもイタリアングレーハウンドやミニチュアダックスフンド、パピヨンなどは、比較的高齢まで元気に過ごす犬種として有名です。

中型犬・大型犬

中型犬や大型犬の中にも、比較的寿命が長いとされる犬種がいます。たとえば柴犬やビーグル、ミニチュアシュナウザーなどは、健康管理をしっかり行えば14歳前後まで生きることも珍しくありません。これらの犬種は丈夫で適応力が高く、飼育環境を整えることで長寿を保ちやすい傾向があるとされています。

犬の健康と長寿を守るためにできること

犬が健康で長生きするためには、日々の生活習慣や環境づくりがとても重要です。ここでは、犬の健康と長寿を守るために、飼い主が意識しておきたい主なポイントを紹介します。

  • 散歩や運動をさせる
  • 栄養バランスのとれた食事を与える
  • 快適な飼育環境と定期的な健康チェックを心がける

散歩や運動をさせる

犬の健康と長寿を保つためには、毎日の散歩や適度な運動が欠かせません。近年は室内飼いの犬が増えていますが、外の空気に触れ、においを嗅いだりほかの犬と交流したりすることは、ストレス発散や社会性を育てるうえでも大切です。

散歩は朝と夕方の1日2回、1回あたり15〜30分程度が目安とされています。ただし、犬種や年齢、体力によって適切な運動量は異なるため、愛犬に合ったペースを見つけることが重要です。

栄養バランスのとれた食事を与える

犬が健康で長生きするためには、毎日の食事内容にも気を配ることが大切です。犬の栄養学が進歩したことで、必要な栄養素をバランスよく摂取できるドッグフードが数多く登場しています。こうしたフードの普及は、犬の平均寿命の延びにも貢献しているといわれています。

一方で、食べ過ぎによる肥満が増えており、健康への影響が懸念されるようになりました。フードは適量を守り、体重や年齢に合わせたものを選ぶことが、愛犬の長寿につながります。

快適な飼育環境と定期的な健康チェックを心がける

快適な生活環境づくりと定期的な健康チェックも、犬の健康と長寿を守るための欠かせない要素です。室内飼育が一般的になり、獣医療が発達したことで、犬の平均寿命は大きく延びました。特にワクチン接種やフィラリア予防をしっかり行うことは、病気の予防に効果的とされています。

また、去勢・避妊手術は生殖器系の病気を防ぐだけでなく、ストレスや問題行動の軽減にもつながります。日頃から体調の変化に注意し、異変が見られるときは早めに獣医師へ相談しましょう。

犬の平均寿命に関するよくある質問

最後に、犬の平均寿命に関するよくある質問とその回答を以下にまとめます。

Q.室内飼いと室外飼いでは寿命に差がありますか?

一般的に、室内飼いの犬の方が長生きする傾向が強いです。

室外飼いの場合、交通事故や転落、他の動物とのケンカ、感染症(ノミ・ダニや蚊が媒介するもの)のリスクが高くなります。また、夏の暑さや冬の寒さといった天候によるストレスも体に負担がかかるのです。

室内飼いはこれらのリスクを大幅に減らせるうえ、飼い主が愛犬の体調変化(食欲不振、排泄物の異常など)に気づきやすいため、病気の早期発見にもつながります。

Q.これまでの犬の最高齢記録(ギネス記録)はどのくらいですか?

ギネス世界記録に認定されている「史上最高齢の犬」の公式記録は、オーストラリアン・キャトル・ドッグの「ブルーイ」で、29歳5ヶ月(1910年〜1939年)です。2023年にポルトガルの「ボビ」が31歳で記録を更新しましたが、その後年齢の証拠不十分として2024年に記録が取り消されたため、現在は「ブルーイ」が公式記録となっています。

Q.歯の健康(歯周病)は寿命と関係がありますか?

歯の健康は、犬の寿命に大きく影響します。歯周病を放置すると、歯茎の血管から細菌が体内に侵入し、血流に乗って全身に運ばれてしまうのです。

その結果、心臓(心内膜炎)、腎臓(腎不全)、肝臓などの内臓疾患を引き起こすことが知られています。口内環境を清潔に保つことは、全身の健康を維持し、長生きするために非常に重要です。

愛犬の健康を守り、できるだけ長く一緒に過ごそう

犬の寿命は、犬種や体格だけでなく、飼い主の心がけ次第で大きく変わります。適度な運動や栄養バランスのとれた食事、快適な生活環境を整えることで、愛犬はより健康に、そして長く生きることができます。

また、年齢や犬種に合わせたケアを行い、定期的に健康チェックを受けることも大切です。毎日の小さな積み重ねが、かけがえのない時間を延ばすことにつながります。愛犬の健康を守りながら、幸せな日々を共に過ごしましょう。