犬が眠っている最中に、うなったり吠えたりするのを聞くと、不安を覚える飼い主も少なくありません。多くの場合、犬の寝言は睡眠中の脳の働きや夢による自然な反応ですが、声の種類や仕草によっては、獣医師に相談した方がよいケースも存在します。

本記事では、犬が寝言でうなる・吠える理由や注意点、高い声や遠吠えへの対処法を詳しく解説します。 

犬が寝言を言う理由とは?

犬が眠っている最中に、うなり声や吠え声のような寝言を発することがあります。ここでは、犬が寝言を言う理由について、睡眠の仕組みや夢の影響といった視点から解説します。

  • レム睡眠とノンレム睡眠の関係
  • 夢の内容が行動として現れることがある

レム睡眠とノンレム睡眠の関係

犬の睡眠は人と同じように、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返す仕組みになっています。寝言が出やすいとされているのは、脳が活発に働いているレム睡眠中です。

レム睡眠中、体はしっかり休んでいますが、脳内では記憶や感情の整理が進められています。その過程で、日中に体験した出来事が夢としてよみがえり、うなり声や吠え声といった形で現れることがあると考えられています。

夢の内容が行動として現れることがある

レム睡眠中に見ている夢は、寝言だけでなく、体の動きとして現れることもあります。眠りながら足を動かしたり、尻尾を振ったりするなど、夢の内容が行動に反映されるケースも良く見られます。

特に、散歩や遊びで多くの刺激を受けた日は、日中の体験が夢に反映されやすく、睡眠中の行動が目立つ傾向があります。

犬の寝言によく見られるパターン

本章では、睡眠中によく見られる代表的な声のパターンを整理し、それぞれに考えられる意味や背景について見ていきましょう。

  • うなるような声
  • 吠えるような声
  • 高い声
  • 遠吠えのような声

うなるような声

愛犬が眠りながら低くうなるのは、夢の中で警戒心や防衛本能が刺激されているサインかもしれません。日中に体験した他犬との接触、あるいは特定の音や動きに対する記憶が脳内で再生され、それに対する無意識の反応が「うなり声」として表れていると考えられます。

吠えるような声

眠っている最中に吠えるような声を出す場合は、警戒しているというより、興奮したり動きのある夢を見ている可能性が高いといえます。

散歩中に他の犬と関わった場面や、夢中になって遊んだ記憶が脳内で再現されることで、その高揚感がそのまま「寝言」として表に出ているケースも少なくありません。

高い声

眠っているときに甘えるような高い声を出すのは、安心感に包まれた穏やかな夢を見ているサインだと考えられます。飼い主と触れ合った時間や、なでられたときの心地よい記憶が夢としてよみがえり、その結果としてやわらかい鳴き声が漏れることがあるとされています。

遠吠えのような声

眠っている間に遠吠えのような声を出すときは、本能的なコミュニケーション行動が夢の中で刺激されていると推測されます。

遠吠えは仲間と位置を知らせ合うための行動であり、その記憶や感覚が夢としてよみがえることで、声として表に出ることがあります。音に敏感な犬や遠吠えしやすい犬種では特に、このような傾向が見られやすいです。

犬の寝言で注意が必要なケースとは?

犬の寝言の多くは生理的な現象であり、過度に心配する必要はありません。しかし、中には体調不良やストレスのサインが隠れているケースもあります。本章では、飼い主さんが特に気をつけたい変化や、見極めの基準について分かりやすく解説します。

  • 苦しそうにしている
  • 目を覚ましても混乱している
  • 寝言が長時間続く

苦しそうにしている

犬が寝言を言いながら、うなり声が強くなったり呼吸が乱れたりしている場合は、注意して様子を見守る必要があります。通常の寝言と異なり、明らかに苦しそうな様子が見られるときは、落ち着いたトーンで名前を呼ぶなど、静かに目覚めを促してあげましょう。

この際、体を強く揺すったり、急に触れたりして驚かせないよう配慮してください。もし目覚めたあとも呼吸の乱れや異変が続くようであれば、速やかに動物病院に相談することが大切です。

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目を覚ましても混乱している

目覚めた後も強い興奮が冷めなかったり、周囲の状況を認識できていないような様子が見られたりする場合も注意が必要です。

吠え続ける、落ち着きなく動き回る、普段は見られない攻撃的な行動を示すといった場合には、単なる寝言とは異なる問題が関係している可能性があります。ふらつきや歩行の不安定さが見られるときも要注意です。できるだけ早めに動物病院を受診しましょう。

寝言が長時間続く

寝言は本来短時間で自然におさまるものですが、長く続く場合は、神経系が過度に興奮している可能性があります。また、眠っているように見えても、体や脳が十分に休めていないケースも考えられます。

寝言の頻度が高い、毎回長引くといった状況が見られる場合は、その様子や継続時間を記録したうえで、専門家に相談することをおすすめします。

犬の寝言で病気が疑われるケースとは?

以下のような場合には、体調不良や病気が関係しているケースもあります。

  • いびきや呼吸音に変化がある
  • 異常な動作が見られる

いびきや呼吸音に変化がある

寝言だけでなく、いびきが急に大きくなったり、鼻が詰まったような呼吸音が目立つ場合は、気道の狭まりや呼吸機能の低下が関係していることがあります。

特にパグやブルドッグなどの短頭種は呼吸器に負担がかかりやすく、わずかな体調の変化が「音」として現れるケースも多いとされています。

異常な動作が見られる

体がけいれんしたり、起きたあとに目の焦点が合わないような動きが見られる場合も、健康状態に異変が生じている可能性があります。さらに、眠ったまま吠え続ける、舌を出してよだれが出るといった様子が見られるときも注意が必要です。

犬が寝言を言っているときの対処法は?

犬が寝言を言っている様子を見かけると、どのように対応すべきか迷ってしまうこともあります。ここでは、基本的な考え方と、状況に応じた対処のポイントを解説します。

  • 基本は無理に起こさない
  • 苦しそうなときは優しく起こす

基本は無理に起こさない

犬が寝言を言っているときは、特別な異変が見られない限り、無理に起こさず見守ることが大切です。多くの場合、寝言は睡眠中の自然な反応であり、無理に中断させる必要はありません。

体の動きや呼吸が落ち着いているようであれば、静かな環境を保ち、安心して眠れるように配慮してあげましょう。

苦しそうなときは優しく起こす

強いうなり声や呼吸の乱れなど、明らかに苦しそうな様子が見られる場合は、優しく声をかけて目覚めを促しましょう。

この際、急に体に触れたり揺さぶったりして驚かせないことが鉄則です。落ち着いたトーンで名前を呼ぶか、驚かせない程度に背中を軽くさすって、静かに意識を戻してあげてください。

目が覚めたあとも興奮が収まらない、同様の状況が頻繁に繰り返されるといった場合は、背景に何らかの疾患が隠れている可能性もあるため、早めに動物病院を受診しましょう。

犬の寝言の仕組みを理解して正しく対応しよう

犬の寝言は多くの場合、睡眠中の夢や脳の働きによる自然な反応です。声の出し方や体の動きに現れる傾向と、その背景にある仕組みを正しく理解しておけば、愛犬が声を漏らしていても過度に不安を感じる必要はありません。

ただし、明らかに苦しそうな様子や目覚め後の混乱、あるいは異常に長く続く寝言などは、見過ごせないサインです。こうした異変を察知した際に、迷わず専門家に相談できる知識を持っておくことが、愛犬の健康と安眠を守ることに繋がります。