犬の清潔な状態を保つためには、適度にシャンプーをしてあげることが大切です。しかし、犬のシャンプーに適切な頻度は、犬種や毛質、皮膚の状態、生活環境などによって異なります。

初めて犬のシャンプーをしようと考えている方の中には、「適切な頻度がわからない」「シャンプーの正しいやり方がわからない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

本記事では、犬のシャンプー頻度の基本的な情報や、犬種別のポイント、注意点、正しいシャンプーの方法などについてわかりやすく解説します。

犬のシャンプーはどれくらいの頻度が適切?

犬の適切なシャンプー頻度は、犬種や生活環境などによっても異なるため、正しい知識と判断が必要です。

犬のシャンプーは、月1〜2回を目安に行うのが一般的とされています。ただし、この頻度はあくまでも目安であり、犬種や毛の長さ、皮膚の状態、生活環境によって調整が必要です。

たとえば、長毛種や皮脂の分泌量が多い犬、屋外で過ごす時間が長い犬は、上記に挙げたよりもやや頻繁なケアが求められる場合があります。反対に、短毛種や室内飼が中心の犬は、汚れがつきにくく皮膚トラブルも少ない傾向にあるため、シャンプーの頻度はそれほど高くなくても問題ないとされています。

大切なのは、愛犬の体質や生活スタイルをしっかり把握し、それに基づいて適切なペースでケアを行うことです。

犬種別シャンプー頻度の目安とは?

ここでは、代表的な犬種別にシャンプーの適切な頻度や注意点をご紹介します。

  • 短毛種
  • 長毛種
  • ダブルコート種

短毛種|フレンチブルドック、パグ、ビーグルなど

短毛種は毛が絡まりにくく、毛玉の心配が少ないため、シャンプーの頻度は月1回程度が目安です。ただし、皮脂の分泌が多い犬種や、体臭が出やすいタイプの場合は、やや短い間隔でシャンプーを行った方がよいケースもあります。

散歩の頻度や生活環境なども考慮し、汚れ具合やにおいの有無を確認しながら調整することが大切です。

長毛種|シーズー、ポメラニアン、マルチーズなど

毛が長く絡まりやすい長毛種の犬は、皮膚トラブルや毛玉の予防として、やや高めの頻度でシャンプーをしましょう。目安としては月2回程度が一般的ですが、毛の状態などによっては週1回ほどのケアが必要となることもあります。

長毛種は毛に汚れやホコリがつきやすく、ブラッシングを怠ると毛玉になって皮膚への風通しが悪くなることがあります。放置すると皮膚炎の原因になるおそれもあるため、シャンプーとあわせて日ごろのブラッシングも重要なケアのひとつです。

ダブルコート種|柴犬、ゴールデンレトリバー、コーギーなど

ダブルコート種とは、外側の硬いオーバーコート(上毛)と内側の柔らかいアンダーコート(下毛)の、二重構造の被毛を持つ犬種のことを指します。被毛が密に生えているため、通気性が悪くなりやすく、換毛期には大量の抜け毛が発生するのが特徴です。

シャンプー頻度の目安は月1〜2回程度ですが、春と秋の換毛期にはシャンプーとあわせて念入りなブラッシングや乾燥が必要になります。毛の中に湿気がこもると皮膚炎やにおいの原因となることもあるため、手入れは念入りに行いましょう。

犬のシャンプーに必要な道具

犬のシャンプーをする際は、必要な道具を事前に準備しておきましょう。以下の道具があると、スムーズにシャンプーをすることができます。

  • 犬用シャンプー
  • 吸水性の高いタオル
  • ブラシ
  • ドライヤー(犬用があれば尚可)
  • スポンジ

最低限、上記の道具はしっかり準備しておきましょう。他にも、犬用バスタブや滑り止めマット、犬用コームなどがあればより安全で快適なシャンプータイムにすることができるでしょう。

犬のシャンプーの正しいやり方

犬に負担をかけずにシャンプーを行うには、正しい方法を知っておくことが大切です。ここでは、シャンプーを安全かつ効率的に行うための基本的な流れをご紹介します。

  • 準備とブラッシングをする
  • ぬるま湯でシャンプーする
  • しっかり乾燥させる

準備とブラッシングをする

犬のシャンプーをスムーズに行うためには、事前の準備とブラッシングがとても重要です。

まず、シャンプー前には、使用する道具をあらかじめ手の届く場所に用意しておきましょう。犬用のシャンプーや吸水性の高いタオル、ドライヤーなどをそろえておくと、作業中に慌てずに済みます。床が滑りやすい場所では、あらかじめ滑り止めマットを敷いておくと安心です。

また、シャンプー前のブラッシングには、毛のもつれや抜け毛を取り除くという大切な役割があります。特に、長毛種やダブルコート種は毛玉がある状態で濡らすとさらに絡まりやすくなるため、ブラッシングは欠かせません。

シャンプー前の段階からしっかり準備を行うことで、飼い主も犬も、ストレスを減らすことができます。

ぬるま湯でシャンプーする

犬のシャンプーをする際、お湯の温度は38℃前後のぬるま湯が理想的です。これよりも熱すぎると皮膚を傷める原因になり、冷たすぎると犬が驚いてシャンプー嫌いになってしまうことがあります。また、シャワーを使うときはいきなり顔や頭にかけず、足元からゆっくり濡らしていくようにしましょう。

シャンプーは直接体につけず、手やスポンジで泡立ててから使うと刺激が少なくなります。顔まわりはとくに敏感な部位なので、スポンジや濡れタオルでやさしく拭うように洗いましょう

また、すすぎ残しは皮膚トラブルの大きな原因となります。首元やわきの下、内股などは泡が残りやすい箇所なので、念入りに洗い流すようにしましょう。シャンプー中は犬の様子をよく観察し、不安そうなときは声をかけて安心させてあげることも大切です。

しっかり乾燥させる

シャンプー後の乾燥も、とても重要な工程です。濡れたままの状態で放置すると、皮膚に湿気がこもって雑菌が繁殖しやすくなり、においや皮膚トラブルの原因になることがあります。

シャンプーが終わったら、タオルで包み込むようにして水気を拭き取ります。その後、ドライヤーやペット用ブロワーを使い、被毛の根元までしっかりと乾かしましょう。毛量の多い長毛種やダブルコート種は、表面が乾いていても内側が湿っていることがあるため、しっかり内側も乾いているか確認してください。

乾燥中は熱風を当てすぎないように距離を保ち、犬が嫌がらない範囲でやさしく仕上げていきます。少し手間はかかりますが、しっかり乾燥させることで清潔な状態を長く保てるだけでなく、肌トラブルの予防にもつながります。

犬のシャンプーに関する注意点

犬にシャンプーをする際は、以下の点に注意しましょう。

  • 必ず犬用シャンプーを使用する
  • シャンプーの頻度は多すぎても少なすぎてもNG
  • 犬の体質やアレルギーを考慮する

必ず犬用シャンプーを使用する

人間と犬では皮膚のpH値が異なり、人間用シャンプーは犬にとって刺激が強すぎます。そのため、犬には人間用のシャンプーは使わず、必ず犬用のシャンプーを使用してください。

犬の皮膚は人間の約3分の1の薄さで非常にデリケートです。人間用シャンプーを使うと、乾燥やかゆみ、ひどい場合は皮膚炎や脱毛など、深刻な皮膚トラブルを引き起こす可能性があります。愛犬の皮膚と被毛の健康を守るため、専用のシャンプーを選びましょう。

シャンプーの頻度は多すぎも少なすぎもNG

犬の清潔を保つためにシャンプーは欠かせないケアのひとつですが、頻度が多すぎても少なすぎても、皮膚や被毛に悪影響を与えるおそれがあります。

頻繁にシャンプーをしすぎると、皮膚の保護に必要な皮脂まで洗い流してしまい、乾燥やバリア機能の低下を引き起こす原因になります。また、皮膚に常在する善玉菌のバランスが崩れ、かえって肌トラブルを招く原因になることもあるため十分な配慮が欠かせません。

一方で、シャンプーの頻度が少なすぎると、皮脂や汚れが蓄積してにおいの原因になったり、毛のもつれや皮膚の炎症、ノミやダニの繁殖といったリスクが高まることもあります。

「洗いすぎず、放置しずぎず」のバランスを保ち、愛犬の状態に合わせて適切な頻度で世話をすることが重要です。

犬の体質やアレルギーを考慮する

皮膚が弱い犬やアレルギー体質の犬は、一般的なシャンプーの頻度や使用する製品が体に合わない場合があります。

その場合は、低刺激性・無香料のシャンプーや獣医師が処方したシャンプーを使用し、洗いすぎに注意しながら慎重にケアすることが大切です。とくにアレルギーがある場合は、成分にアレルゲンが含まれていないかを事前に確認することも欠かせません。

体質に合った方法でケアを行うことで、皮膚への負担を最小限に抑えながら清潔を保つことができます。

愛犬に合ったシャンプー頻度と正しいケアで健康を守ろう

犬のシャンプーは、犬種や毛質、体質に合わせて頻度を調整することが大切です。放置しすぎはもちろんのこと、洗いすぎても皮膚トラブルの原因になりかねません。

愛犬の清潔と健康を保つためには、適切な頻度と正しい方法でケアを行うことが重要です。本記事で紹介した情報を参考にして、愛犬に合ったシャンプーをしてあげてください。