マウンティングは「オス犬がするもの」と思われがちですが、実はメス犬もマウンティングを行います。メス犬がマウンティングをする原因は発情期だけとは限らず、遊びやストレス、習慣などが関係している場合もあります。

本記事では、メス犬がマウンティングをする理由や、やめさせるための正しい対処法を分かりやすく解説します。

犬のマウンティングとは?

犬のマウンティングとは、人や他の犬、ぬいぐるみなどに前足をかけ、覆いかぶさるようにして腰を動かす行動のことです。

交尾を連想させるため性的な仕草と捉えられがちですが、実際には興奮や遊びの延長、相手との関係性の確認、注目を引きたい気持ちなど、さまざまな要因が関係しています。オス・メスを問わず見られ、日常の中でも起こり得る一般的な行動の1つです。 

メス犬がマウンティングする理由とは?

メス犬がマウンティングをする背景には、さまざまな要因が考えられます。

  • ホルモンの影響
  • 遊びの延長
  • ストレスや欲求不満
  • 自己アピール
  • 病気や体調不良

ホルモンの影響

発情期を迎えたメス犬は、ホルモンバランスが大きく変化することで、気分や行動にも影響が出やすくなります。落ち着きがなくなったり、これまで見られなかったマウンティングをすることもあります。

こうした行動は必ずしも交尾を目的としたものではなく、興奮しやすい状態や気持ちが不安定になることが影響していると考えられます。 

遊びの延長

発情期とは関係なく、日常の遊びの中でマウンティングが見られることもあります。遊んでいるときや退屈しているときに偶然行い、その刺激を楽しいと感じたことがきっかけで、同じ行動を繰り返すケースも少なくありません。

特にお気に入りのおもちゃやぬいぐるみに向けて行う場合が多く、習慣として定着することもあります。 

ストレスや欲求不満

ストレスや欲求不満も、メス犬がマウンティングする理由の1つです。不安や緊張、欲求が満たされないことへの不満を感じたときに、気持ちのはけ口としてマウンティングをすることがあります。

また、運動不足や刺激の少ない環境では、エネルギーを発散しようとしてマウンティングが増えるケースも見られます。 

自己アピール

自己アピールの1つとしてマウンティングが見られることもあります。オス・メスに関係なく起こり、同性の相手に向けられるケースも珍しくありません。相手に覆いかぶさる行動には、注目してほしい気持ちや高ぶった感情が表れていると考えられています。

ただし、必ずしも優劣を決める目的とは限らず、状況や相手との関係によってその意味合いは異なります。 

病気や体調不良

急にマウンティングが増えた場合、ホルモンバランスの乱れや子宮・卵巣のトラブル、皮膚の炎症など、病気や体調不良が関係していることもあります。

これまでになかった頻度でマウンティングを始めた場合や、元気や食欲の低下、陰部を気にする様子などが見られる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。

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メス犬のマウンティングはやめさせるべき?

メス犬であっても、マウンティングを放置することは望ましくありません。繰り返すうちに習慣化しやすく、欲求が強まることでストレスにつながる恐れがあるからです。

また、マウンティングは足腰に負担がかかるため、体への影響も懸念されます。さらに、散歩中やドッグランで他の犬や人に向けて行えば、思わぬトラブルに発展する可能性もあります。

愛犬がマウンティングを始めたら、慌てずに制止し、基本的なしつけを通じてコントロールできる状態を目指すことが大切です。

メス犬のマウンティングをやめさせる方法

メス犬のマウンティングは、対応の仕方によって改善が期待できます。ここでは、メス犬のマウンティングをやめさせるための主な方法を紹介します。

  • 冷静に引き離す
  • コマンドで中断させる
  • 興奮をコントロールする
  • 運動量を増やす
  • 避妊手術を行う 

冷静に引き離す

犬がマウンティングを始めたら、対象となるものから冷静に引き離しましょう。大声で叱ったり強く引っ張ったりすると、かえって興奮を高めてしまう場合があります。感情的にならず、落ち着いた対応を心がけることが改善への近道です。

コマンドで中断させる

マウンティング対策には、コマンドで中断させる方法も効果的です。「おすわり」「待て」「おいで」などの指示を出して動きを止め、意識を飼い主に向けさせましょう。指示に従えた時は、きちんと褒めてあげることが大切です。

成功体験を重ねることで、徐々にマウンティングを抑止しやすくなります。

興奮をコントロールする

マウンティングは興奮がきっかけで起こることも多いため、日頃から感情をコントロールする工夫が大切です。遊びがエスカレートする前にいったん休憩を入れたり、刺激の強い状況から距離を取ったりすることで、気持ちの高ぶりを落ち着かせやすくなります。

運動量を増やす

エネルギーが十分に発散できていないと、体力のはけ口としてマウンティングが増えることがあります。マウンティングが増えてきたと感じたら、散歩の時間を少し延ばしたり、ボール遊びや引っ張りっこを取り入れたりして、日々の運動量を見直してみましょう。

体をしっかり動かすことで心身が満たされ、落ち着いて過ごしやすくなります。 

避妊手術を行う

発情期に伴うホルモンの影響が強い場合、避妊手術によってマウンティングが落ち着くこともあります。ただし、すべてのマウンティングが改善するわけではなく、習慣や環境要因が関係している場合もあるため注意が必要です。

メス犬のマウンティングに関するよくある質問

ここからは、メス犬のマウンティングに関するよくある質問にお答えしていきます。

Q:避妊手術をすれば、マウンティングは完全になくなりますか?

A:発情期のホルモンバランスが原因である場合は、手術によって治まるケースが多いです。しかし、マウンティングが遊びの習慣やストレス発散として定着している場合、手術後も行動が続くことがあります。

Q:飼い主の足にマウンティングをしてくるのはなぜでしょうか?

A:かつては優位性を示していると言われることが多かったですが、実際には「遊んでほしい」「構ってほしい」という親愛の情や、帰宅時の興奮からくるケースがほとんどです。コミュニケーションの一環として行っている可能性が高いでしょう。

ただし、エスカレートさせないために、一度冷静に距離を置く対応が推奨されます。

Q:おもちゃやぬいぐるみへのマウンティングはやめさせた方が良いですか?

A:対象が物であれば他人への迷惑はかかりませんが、激しい腰の動きは関節や脊椎(腰)に負担をかけるリスクがあります。また、マウンティングに執着しすぎると、それができない時にかえって強いストレスを感じるようになることもあります。

おもちゃを一度片付ける、別の遊びに誘うなどして、依存させない工夫をしてあげましょう。

日々の生活習慣・しつけを見直すことが大切

メス犬のマウンティングは、発情期によるホルモンの変化だけでなく、遊びやストレス、日頃の習慣などさまざまな理由で起こります。マウンティング自体は必ずしも問題行動とはいえませんが、放置するとクセになったり、思わぬトラブルにつながることもあります。

マウンティングをやめさせるには、原因を見極め、冷静に対応することが大切です。日頃の運動やしつけを見直しながら、適切なサポートを行いましょう。