犬の肥満は見た目だけの問題ではなく、さまざまな不調を引き起こすリスクとなります。適正な体重を保つことは、愛犬の健康寿命を延ばして元気に過ごすために欠かせないポイントです。

本記事では、犬が太ってしまう原因から肥満のリスクや見極め方、ダイエット方法や注意点をわかりやすく解説します。

犬が太ってしまう原因とは?

犬の肥満は、日常生活や体質など複数の要因が重なることで起こります。ここでは、犬が太ってしまう主な原因をご紹介します。

  • おやつの与えすぎ
  • 人間の食べ物を与えている
  • 去勢・避妊手術の影響を受けている
  • 多頭飼いをしている
  • 遺伝的に太りやすい犬種である

おやつの与えすぎ

犬にとっておやつは、しつけやコミュニケーションに欠かせないアイテムです。しかし、与えすぎは肥満の大きな原因になります。特に、カロリーの高いおやつを毎日のように与えると、食事量を調整しても摂取エネルギーがオーバーしがちです。

「少しだけ」とあげてしまう積み重ねが体重増加につながる点を理解し、適量を守りながら、できるだけ低カロリーのおやつを選ぶことが大切です。

人間の食べ物を与えている

犬に人間の食べ物を与えることも、肥満の大きなリスクになります。人間の食事は塩分や脂質、糖分が多く、犬の体には負担がかかりやすいです。たとえひと口であっても、毎日続けばカロリー過多となり体重増加につながってしまいます。

さらに、味の濃い食べ物に慣れてしまうと、犬がドッグフードを食べなくなる恐れもあります。愛犬の健康を守るためにも、人間の食べ物は避け、犬専用のおやつやフードを与えるようにしましょう。

去勢・避妊手術の影響

去勢や避妊手術を受けた犬は、ホルモンバランスの変化によって代謝が落ち、太りやすくなります。さらに、性ホルモンが減少すると満腹感を得にくくなり、食欲が増す傾向も見られます。

術後は食事の内容や量を見直し、日常的に適度な運動を取り入れることが肥満予防につながります。

多頭飼いをしている

多頭飼いをしている場合、犬同士が競うように食べてしまうため、早食いや食べすぎにつながることがあります。飼い主が目を離したすきに他の犬のフードまで食べてしまい、結果的に摂取カロリーが増えて肥満になるケースも少なくありません。

また、どの犬がどれだけ食べたかを把握しづらい点も問題です。多頭飼いの場合は、犬ごとに食事の時間や場所を分けるなどして管理しましょう。

遺伝的に太りやすい犬種である

犬の中には、遺伝的に太りやすい体質を持つ犬種も存在します。ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバー、ビーグル、ミニチュアダックスフンド、パグ、キャバリアキングチャールズスパニエル、コッカースパニエルなどが代表的で、肥満のリスクが高いことが知られています。

これらの犬種は運動不足や食べすぎの影響を受けやすいため、日頃から体重のコントロールを心がけることが重要です。

犬の肥満によって引き起こされるリスクとは?

犬にとって肥満は見た目の問題だけでなく、健康を大きく損なう要因になります。

ここでは、犬の肥満によって引き起こされる主なリスクについて見ていきましょう。

  • 足腰や関節への負担
  • 循環器や呼吸器のトラブル
  • 糖尿病などの内分泌疾患
  • その他のリスク

足腰や関節への負担

犬が肥満になると、体重の増加によって足腰や関節に大きな負担がかかります。特に小型犬や高齢犬では、膝蓋骨脱臼や関節炎などのリスクが高まり、歩行に支障をきたす場合もあります。

症状が進行すると散歩を嫌がったり、日常生活に支障が生じたりするケースも見られるため注意が必要です。

循環器や呼吸器のトラブル

犬の肥満は循環器や呼吸器のトラブルにもつながります。肥満になると、心臓は余分な体重に見合うだけの血液を送り出さなければならず、心臓病のリスクが高まります。

また、胸部や気道周囲に脂肪がつくと呼吸がしにくくなり、気管虚脱や短頭種気道症候群などの呼吸器疾患を悪化させるリスクが高いです。

糖尿病などの内分泌疾患

肥満によって膵臓に負担がかかると、血糖値を下げる役割をもつインスリンの分泌や働きが乱れやすくなります。その結果、血糖値が下がりにくい状態が続き、放っておくと糖尿病のような内分泌疾患を引き起こす危険があります。

その他のリスク

肥満は、関節や心臓への負担だけでなく、さまざまな病気のリスクを高める要因です。内臓脂肪が肝臓にたまると脂肪肝となり、機能が低下する恐れがあります。また、脂肪で腸が圧迫されると便秘を引き起こしやすくなります。

さらに、肥満の犬では尿路結石の発症率が高まることも。免疫機能も低下しやすく、感染症にかかりやすくなるリスクも増加します。

犬にダイエットが必要かを判断する方法とは?

犬にダイエットが必要かどうかを見極めるには、見た目の印象だけでなく、客観的な基準を取り入れることが大切です。ここでは、犬にダイエットが必要かを判断する方法をご紹介します。

  • ボディ・コンディション・スコア(BCS)で肥満度を確認する
  • 犬種別の標準体重をチェックする
  • 定期的に体重を測定する

ボディ・コンディション・スコア(BCS)で肥満度を確認する

ボディ・コンディション・スコア(BCS)は、犬の体型を数値で評価して肥満度をチェックするための指標です。5段階や9段階に分けて、肋骨に触れやすいか、腰のくびれがあるか、腹部が引き締まっているかなどを観察します。

適正範囲を外れていると判定された場合には、食事量や運動習慣の見直しが必要です。BCS(5段階評価)の目安は、以下の通りです。

スコア1(痩せすぎ) 肋骨・背骨が容易に確認できる、脂肪がほとんどない
スコア2(やや痩せ気味) 肋骨が触りやすく腰のくびれがはっきりしている
スコア3(理想) 肋骨に軽く触れる、腰のくびれと腹部の引き締まりがある
スコア4(やや肥満) 肋骨が触りにくく腰のくびれが目立たない
スコア5(肥満) 肋骨が触れない、腹部が丸く垂れ下がっている

犬種別の標準体重をチェックする

ダイエットが必要かどうかを判断するには、犬種ごとの標準体重を知っておくことも重要です。特に成犬は成長が落ち着くため、基準値から大きくかけ離れている場合は肥満の可能性があります。

ただし、同じ犬種でも骨格や体格には個体差があるため、標準体重はあくまで参考とし、実際の体型や健康状態とあわせて判断することが大切です。

定期的に体重を測定する

犬の体重は健康状態を知るための大切な目安です。定期的に測定することで、小さな変化にも早く気付くことができます。

肥満は少しずつ進行するため、見た目だけでは気付きにくいこともあります。動物病院での健診に加えて自宅でもこまめに体重を量り、記録しておくと安心です。

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犬に効果的なダイエット方法とは?

犬のダイエットは、食事と運動の両面から無理なく取り組むことが基本です。

食事面では、低脂肪・高タンパクの総合栄養食やダイエット用フードを活用し、量をきちんと計量して与えることが重要となります。また、早食い防止用の食器や知育玩具を使って食事時間を長くする工夫も効果的です。

運動は散歩の時間や距離を少しずつ増やし、日々の生活の中にボール遊びや引っ張りっこなどの遊びを取り入れると楽しく続けられます。

犬にダイエットをさせる際の注意点

犬にダイエットをさせる際は、急激な変化を避けるようにしましょう。食事を一気に減らしたり、急に運動量を増やしたりすると、体に負担がかかり体調を崩す恐れがあります。

フードを切り替える場合も栄養バランスに配慮し、必要に応じて獣医師に相談しながら少しずつ行うことで、安全で効果的なダイエットを進めることができます。

犬のダイエットは正しい方法で無理なく行おう

犬の肥満を放置すると、関節や心臓、呼吸器などに負担がかかり、健康を損なう恐れがあります。ボディ・コンディション・スコア(BCS)や犬種別の標準体重を参考に肥満度をチェックし、基準値から大きく外れている場合はダイエットを検討しましょう。

ただし、過度な食事制限や急な運動は体調を崩す原因となります。正しい方法を理解し、愛犬の状態に合わせて無理なく続けることが大切です。