循環器科

循環器科について

※こちらのページには手術シーンなどの刺激的な写真がございます。
ご気分が悪くなる場合もございますので、ご注意ください。

治療内容

内科治療

心臓病治療の基本は内科治療になります。一般的に内科治療は投薬を行うということだけではなく、減塩食へ切り替える、過度な運動や興奮を抑制する、暑熱寒冷を避けるなどといった生活スタイルの見直しが含まれています。

心臓の収縮力を改善し、かつ血管を拡張して心臓のポンプ機能を増強します。ピモベンダンは心筋細胞のカルシウム感受性を増感して、心臓を疲れさせないような強心作用があります。さらに血管のホスホジエステラーゼ阻害作用によって心臓の出口となる血管を拡張し、心臓の負担を軽減します。

ピモベンダンは、僧帽弁閉鎖不全などの心臓弁膜症や拡張型心筋症に用いることにより、予後を改善させたりステージの進行を遅らせる作用が認められています。近年では無症状の僧帽弁閉鎖不全の犬にも投与の有効性が認められています。

血圧を下げ、心臓を保護する作用があります。心不全では弱くなった心臓のポンプ機能を補うために、アンギオテンシンというホルモンが活発化しています。このホルモンは手足など全身の血管を縮めることにより心臓の血液量を増やします。

しかし逆に縮まった血管へ血液を送るためには、心臓の力がさらに必要です。ACEIやARBはアンギオテンシンの過剰な活動を抑えて血管を広げ、心臓にかかる負担を軽くします。心臓の機能を低下させてしまう心筋組織の変化(リモデリング)を防ぐ作用もあります。

尿量を増やし、体内の余分な水分を減らします。心不全では心臓のポンプ機能が悪くなり、腎臓へ運ばれる血液の量も減り、尿が作られにくくなっています。尿が作られないと体内の水分が増え、さらに心臓の負担が大きくなります。利尿薬は尿量を増やし、体の中の余分な水分や塩分を減らす作用があります。

過剰になった心臓の働きを少し休めて、心臓の機能を保護するお薬です。慢性心不全では心臓の弱くなった機能を補うために、交感神経が活発化しさらに心臓に負担をかけます。β遮断薬は交感神経の働きを抑えることで、心臓の動きを少し休める作用があります。不整脈を予防改善する作用もあります。

血管を拡張して血圧を下げます。カルシウム拮抗薬は筋肉に対するカルシウムの働きを抑えることで血管を広げ、血圧を下げる効果があります。不整脈を予防改善する作用もあります。

血小板は血液を固めるために重要な働きをしている血液の成分ですが、肥大型心筋症や心房細動などの特定の心臓病では血栓ができやすい状態にあり、血栓塞栓症を引き起こすリスクがあります。抗血小板薬は血小板の働きを抑え血栓を予防するお薬です。

外科治療

多くの循環器疾患では、軽度であれば、内科療法でも十分に症状をコントロールすることができます。しかし、根本的に手術でしか治癒させようのない心臓病や、進行性・重症の心臓病の場合には、内科療法でのコントロールは困難であり根治する(完全に治す)ことはできません。

当院は動物の心臓血管外科手術ができる世界的にも希少な施設の1つで、僧帽弁閉鎖不全症をはじめ先天性心血管奇形、不整脈、心臓腫瘍など、多岐にわたる心臓血管疾患に対して外科治療を行っています。当院は僧帽弁閉鎖不全症の犬に対して僧帽弁形成術を適応し、世界で初めて手術に成功しました。現在では、動物病院での手術症例数や手術成功率としては世界トップクラスの実績を誇ります。当院の代表的な心臓手術である、僧帽弁形成術について解説します。

スタッフの人数と役割

現在当院では、術者1名、手術助手1名、器具助手1名、麻酔医1名、人工心肺医1名、アシスタント医3名の計8名のチームで僧帽弁形成術を行っています。スタッフ全員が当院の常勤獣医師です。当院のスタッフは循環器内科学、心臓外科学、麻酔学、体外循環医学、集中治療医学、周術期管理学の理論や実践手技についての基礎力が養われており、各ポジションを遂行するための特殊な知識やエキスパートとしての技術を身につけています。

犬の僧帽弁閉鎖不全症では、僧帽弁が年齢とともに変性して逆流が発生します。さらに一度悪くなった僧帽弁の病変は、投薬を行っても元の正常な状態には決して戻らないため、僧帽弁閉鎖不全症を根治するには手術が必要となります。

当院ではすべての症例に僧帽弁形成術を行っています。僧帽弁形成術とは、患者動物自身の僧帽弁を修復することにより逆流を治す、動物に最適な手術方法です。僧帽弁形成術は、僧帽弁閉鎖不全の根治方法として、動物の獣医学のみならず人間の医学においても最善の方法とされています。

手術適応状態か否かの診断は、臨床症状からの判断と非侵襲的検査(身体検査、心電図検査、血液検査、X線検査、経胸壁心エコー検査)によって行います。麻酔が必要な侵襲的検査(心臓カテーテル検査、経食道心エコー検査等)は用いないため安全です。

当院の検査では僧帽弁の病変をほぼ正確に調べることができ、国内随一の診断技術があります。重症例、左心不全、右心不全、心機能低下、肺高血圧、不整脈、腎不全、長期病悩期間、高齢のケースであっても、あきらめることはありません。手術によって元気に回復する子たちはたくさんいます。

僧帽弁形成術を行うためには、心臓を切開し僧帽弁を露出して手術をする必要があります。しかし、何の工夫もせずに動いている心臓をそのまま切開してしまえば、たちまち大量の血が心臓から噴き出してしまいます。

現代医学では、心臓を安全に一時停止させることができる特殊な薬液(心筋保護液)や、心停止中に心臓の働きを代行してくれる人工心肺装置があります。動物の体温を人工的に下げ、体のエネルギー消費量をコントロールする技術もあります。過去の研究者たちの努力のたまものによって、現在では心臓手術を行うためのノウハウや特殊技術がすでに確立されており、医学的にきわめて安全であることが証明されています。

現在当院では、人工心肺装置による体外循環法、低体温麻酔法、心筋保護法などの安全手段を駆使して僧帽弁形成術を行っています。犬の僧帽弁閉鎖不全の病変は、さまざまな問題が複雑に入り組んでいます。そのため僧帽弁形成術は、三次元的に僧帽弁のさまざまな部分を修復する高度な技術と知識の結集が必要です。

当院ではさまざまな術式を組み合わせ、個々の動物に最適な治療方法を適応しています。特に人工腱索再建術や弁輪縫縮術を基礎術式に多用します。

人工腱索再建術は延長・断裂した腱索を縫合糸で再建する方法です。使用するePTFE(Gore-Tex®)糸は、術後数ヶ月経過すると心臓の心内皮細胞に覆われる性質があります。そのためこの糸は生体適合性、抗血栓性、強度、柔軟性、耐久性に最も優れていると結論された安全な材料です。

弁輪形成術は拡大・変形した弁輪形態を修復する方法です。当院では、縫合糸で弁輪を巾着状に縫縮する方法を行っており、体重が1.2kgから15kgの症例にこの術式を適用しましたが、経年後の耐久性も良好です。

形成術完成度の確認方法と僧帽弁形成術の目標

弁輪形成術の完成度は、左室内に生理食塩水を注入し、弁を閉鎖させて確認します(逆流テスト)。このとき僧帽弁の形態や逆流の有無を観察し、手技の妥当性や追加すべき手技について評価検討します。

安全に手術を遂行することを最優先しつつ、僧帽弁を生涯にわたって逆流することがない形態へと完全に回復させ、健康な動物と変わらない生涯を送るレベルのQOL(クオリティーオブライフ)を回復させることが我々の目標です。ほとんどの動物の僧帽弁で、逆流を激減させることができます。

手術終了後、厳密にモニターで確認しながら徐々に人工的管理を離脱していきます。人工呼吸終了後は集中治療ケージで治療を行いますが、ほとんどの症例は1〜2時間程度で起立、歩行、飲水が可能となり、手術翌日から食餌や散歩が可能となります。入院中は血液検査や画像検査によって合併症の有無など各モニターで確認します。

当院では術後検査を術後1週間目、1ヶ月目、3ヶ月目に行い、術前所見と比較検討し、その内容と今後の管理方針について患者ご家族様やホームドクターに情報提供しています。その後は術後1年ごとの精査を行います。

僧帽弁の逆流が激減することにより、心臓の血行動態、心拡大、症状、心不全ステージなどが劇的に改善していく様子を認めることができます。僧帽弁の整復状態は生涯にわたって維持され、過去に手術を行った症例において最長12年間の耐久性に問題がないことを確認しています。

活発で健康的な日常生活を送り、心不全に関連しない寿命を迎えることができるようになります。ご家族様も、それまでに強いられていた医学的・経済的・心理的ストレスや時間制約から解放されます。

手術の流れ・内容

手術当日は9:00にお預かりします(遠方の場合は前日からお預かりする場合もございます)。
手術は、1件目の場合は12:00頃、2件目の場合は17:00頃から開始します。
以下に、当院での僧帽弁閉鎖不全の手術の流れを、術前の心臓検査から順に詳しく解説していきます。

僧帽弁閉鎖不全の手術の流れ

  1. ホームドクターからのご紹介で、まずは心臓の精密検査を実施して心疾患の有無や病態を調べます。検査当日は複数の検査を行い、総合的な評価を行っていきます。

    聴診

    心臓の音が正常かどうか、雑音が聴こえる場合にはそれが心臓のどの部分からどの程度の大きさで聴こえているかを調べます。また、心音のリズムに異常がないか(不整脈がないか)を確認します。

    胸部レントゲン検査

    心臓のサイズや肺、気管などの呼吸器の状態を確認します。特に、心臓が肥大していないか、心肥大により気管が圧迫されていないか、心機能低下により心不全を起こし肺の中に血液成分が漏出している状態(肺水腫)ではないかを調べます。また撮影したレントゲン写真をもとに、2つの指標(椎体心臓サイズ(VHS)および心胸郭比(CTR))で心臓のサイズを数値化して評価します。

    血液検査

    心臓病のマーカーを測定し、心臓病の程度を把握することができます。また、心臓以外の疾患が直接あるいは間接的に心臓や血管へ影響を及ぼす場合や、心臓病の治療が腎臓など他の主要な臓器に影響を与えている場合があるため、さまざまな血液生化学マーカーによって確認します。

    血圧検査

    血圧を測定することにより、心臓にかかる負荷の程度や、血管の収縮・拡張、心臓のポンプ能力に関する情報が得られます。

    心電図検査

    心臓の動きのリズムや、心臓の細胞間の電気刺激の伝達の様子を確認します。この検査では主に不整脈の有無やその種類を把握することができます。

    心エコー検査

    心臓の断面やその動きをリアルタイムに見て、構造的な異常や心機能を評価します。血流の流れや流速も測定でき、心筋や弁の動きも詳しく見ることができるため、心疾患の診断や病態の評価のために重要な検査になります。

  2. 心臓検査の結果、僧帽弁閉鎖不全症と診断され、その病態が手術適応と判断された場合、僧帽弁形成術(MVP)の実施を検討していきます。心臓検査当日に獣医師から僧帽弁形成術に関する詳しい説明をいたします。その後ご家族様やホームドクターと手術の実施をご検討いただき、お電話にて手術のご予約・日程を確定します。

  3. 手術当日は9:00にお預かりし、手術の準備を進めていきます(遠方からお越しの場合は前日からお預かりする場合もございます)。術前検査として、胸部レントゲン検査、血液検査、腹部エコー検査を実施し、当日の体の状態を調べます。また手術に際して、術中の点滴や投薬、動脈圧の測定に使う血管への点滴用ラインを確保します。

  4. 手術当日1件目の場合は12:00頃、2件目の場合は17:00頃から手術開始となります。手術は全身麻酔をかけて気道確保を行うことから始まります。

    1. 麻酔

    手術室に移動後、全身麻酔をかけて気道を確保し、薬液や動脈圧測定のための管を繋げていきます。麻酔をかけてからおおよそ30分ほどで執刀が始まります。

    2. 開胸、人工心肺装置への接続

    左胸の側面を切開して心臓を露出し、心臓内を操作する準備をします。心臓内を操作する際には心臓の動きを止める必要があるため、心筋保護液と呼ばれる特殊な薬液を使用して心臓を停止させます。心停止の間は血管や右心房に管を通して人工心肺装置へ接続し、体の血液循環を維持します。

    3. 弁形成、左房縫合

    心停止後、左心房を切開して、変性してしまった僧帽弁の再形成を行います。具体的には、腱索(僧帽弁を左心室壁につなげる支持組織)を人工糸で作り直し、広がってしまっている弁輪(僧帽弁の外側の径)を適切な長さに戻します。僧帽弁を修復したら切開した左心房を縫合します。

    4. 閉胸

    左心房の縫合後、心臓の拍動を再開させます。その後、始めに挿入した管を抜いて人工心肺装置から離脱します。止血を確認した後、胸腔内ドレーンを設置し、筋肉や皮膚を縫合して手術自体は終了となります。

    5. 覚醒

    閉胸が終了すると、全身麻酔から覚ます準備に入ります。まず閉胸後にエコー検査で心臓の状態を確認します。その後、血圧や酸素化などさまざまな要素を総合的に評価して、十分な循環を維持できていると判断できてから麻酔からの覚醒を試みます。覚醒後は胸部レントゲン検査も行って胸腔内の評価を行います。

  5. 手術直後は一晩、獣医師監視下のもとICUで管理し状態を見守ります。この間は体温や呼吸状態、心拍数の確認の他、定期的に胸腔内ドレーンを確認し出血や気胸の恐れがないかをチェックしたり、動物の体表に装着できる心電計で心電図をチェックしていきます。また、必要に応じて心機能が十分に回復するまで点滴での投薬を続けていきます。

  6. 術後の状態が安定すると一般の入院室に移動します。入院中は毎朝毎夕の体重・体温のチェックの他、毎朝心臓の検査(胸部レントゲン検査、血液検査、血圧検査、心電図検査、心エコー検査)を実施して術後の心臓や他の組織の状態を評価し、投薬の必要性を判断します。体調が安定していれば1日2回、簡単なお散歩も行います。また術後1週間後には改めて精密な心臓検査を実施し、術後心機能の評価をします。

  7. 術後の回復が順調である場合は、概ね術後10日程度で退院ができます。退院後の生活指導や投薬については獣医師から説明を行います。術後1ヶ月、術後3ヶ月に再度心臓検査をし、術後の状態を確認します。

複数の検査を行う理由

循環器疾患は、一般身体検査に加えて複数の検査(心電図検査、血液検査、X線検査、心エコー検査など)を行い、その結果を総合して病気を診断しなければなりません。例えばX線検査は心臓全体のサイズの評価や肺の状態を確認するために有益ですが、不整脈を診断したり心臓の内部構造を把握することはできません。不整脈を診断するためには心電図検査が必要であり、一方で心臓の内部構造を把握するためには心エコー検査が最も適しています。

このように各検査の得意分野、不得意分野が分かれているため、ある1つの循環器病を評価するのにもさまざまな検査を行う必要があるのです。また、さまざまな検査を組み合わせることで病気やステージを正確に診断できるうえ、見落としや誤診を回避できます。不必要に思えるかもしれませんが、複数の検査を行うことは循環器疾患の診断には必要不可欠なのです。

当院では国内最高クラスの循環器検査機器を備え、それぞれの検査によって得られた結果の解釈は、高度な専門知識を有する経験豊富な専門スタッフが行います。麻酔や動物に大きな侵襲を伴う検査が必要になることはまれで、安心して検査を受けていただくことができます。

超音波検査装置①

超音波検査装置②

デジタル X線画像診断システム

レントゲン検査を一元管理できるシステムです。

デジタルX線検査装置

レントゲン装置にデジタル画像処理コンピュータを組み合わせたDR(デジタルレントゲン)システムです。約5秒で高画質な撮像データが得られます。

誘導心電図計

治療実績

当院の心臓精密検査の実施数

1,500 件/年

当院では年間1,500症例程度の心臓検査が行われています。循環器病専門の獣医師が高性能の解析検査装置を用いて綿密に調べ、動物が発症する多くの心疾患、心奇形、重症度、心不全ステージなどをこまかに診断し、治療内容を検討することができます。
当院では心臓外科医、循環器内科医、麻酔科医、体外循環医、集中治療医など心臓手術チームがすべての検査過程に直接携わることも利点です。
手術まで必要な重症例では、治療適応、麻酔のリスク判定、病変の詳細なチェックと術式の検討、緊急性の判断までが速やかに行われるほか、術後もチームにより同等・同質の検査が毎日行われており、小さな異変も逃さずチェックされています。

検査中の動物は慎重に状態観察され、極めて丁寧に愛護的に取り扱われています。特に重症の動物には無理がかからないよう、飼い主様とご相談のうえで検査内容を変更したり、同時進行で治療を開始するなど臨機応変に対応しています。なお、セット内容だけでは確定診断が難しい疾患も存在し、ご相談のうえ追加検査を提案する場合があります。

心臓精密検査 詳細

所要時間

半日入院(午前:入院、午後:退院と説明)

備考

事前の電話予約が必要です

当院の「心臓検査」の内容には、(1)一般身体検査、(2)血液検査(血球計算、血液生化学、心臓バイオマーカー)、(3)心電図検査、(4)血圧測定検査、(5)胸部レントゲン検査、(6)心臓エコー検査、(7)造影検査(必要時)、(8)専門獣医師による対面インフォームドコンセントサービス、(9)心臓検査報告書作成、(10)報告書郵送サービス、が含まれています。
本検査内容では、動物への身体侵襲を最小限にとどめるため、鎮静剤や麻酔薬を使用しません。

代表的な心臓血管疾患の近年における手術成功率

当院の手術スタッフは、全員が当院に常勤している獣医師です。症状を把握した心臓血管外科専門スタッフが術前からすべての入院期間を通じて直接治療にあたり、緊急症例に対しても迅速に対応することが可能です。

当院ではこれまで、僧帽弁閉鎖不全に対する僧帽弁形成術を1,000例以上、先天性心血管奇形やその他の心疾患に対する手術を400例以上に行ってきました。僧帽弁形成術の手術成功率(術後3ヶ月間の観察気管における生存率)は、2023年時点において、ACVIM※ステージB2では96.1%ステージCでは95.8%ステージDでは90.9%症例全体で95.5%です。また、高齢の症例(14歳以上、最高で17歳)の手術成績は、92.3%です。また、その他の心臓血管疾患に対する手術成功率は、動脈管開存症が100%心室中隔欠損症90.9%であり、動物病院での手術症例数や手術成功率としては世界トップクラスの実績があります。また、これまでに心肺停止の症例、心臓破裂の症例、劇症肺水腫の症例など危篤状態の症例に対して緊急手術を行うことで、多く症例の救命に成功しています。また、再開心術、三尖弁形成術、僧帽弁形成術の再手術といった、非常に高難度の手術にも対応し多数成功しています。

※ACVIM分類:米国獣医内科学会(ACVIM: American College of Veterinary Internal Medicine)の心不全分類

先進的獣医療を行うことができる一方で、当院は一次診療施設としての診療機能と入院設備をベースとして備えています。各診療科を越えた複雑な病態にも対応できる設備とノウハウを有し、個々の症例ごとに最も安全で効果的な治療を提供できるよう努めています。

手術成功率

これまでの心臓血管外科手術実績

  • 僧帽弁閉鎖不全症
  • 部分型房室中隔(心内膜床)欠損症
  • 僧帽弁奇形
  • 肺動脈狭窄症
  • 心室中隔欠損症
  • 心房中隔欠損症
  • 僧帽弁狭窄症
  • ペースメーカー埋め込み術(洞不全症候群、房室ブロック)
  • 心タンポナーデ
  • 収縮性心膜炎
  • 右室二腔症
  • Ebstein奇形、三尖弁奇形
  • ファロー四徴症
  • 複合心奇形
  • 三尖弁閉鎖不全症
  • 完全型房室中隔(心内膜床)欠損症
  • 大動脈狭窄症
  • 両大血管右室起始症
  • 動脈管開存症
  • 血管輪奇形(右鎖骨下動脈起始異常、右大動脈弓遺残)
  • フィラリア症
  • 心臓粘液腫
  • 再開心術
  • 心臓腫瘍(大動脈小体腫瘍(ケモデクトーマ)、異所性甲状腺癌、血管肉腫)

獣医循環器認定
医制度とは

獣医循環器認定医制度は、日本獣医循環器学会によって設立された制度です。この制度は、高度かつ広範な専門知識と実践能力を備えた、国際水準の動物循環器スペシャリストの育成を目的としています。

獣医循環器認定医は動物の循環器学に関する専門知識を有し、指導的役割を果たすことのできる者として日本獣医循環器学会によって認定された獣医師です。臨床経験5年以上かつ学会員歴5年以上で、学会評価基準を満たすレベルの循環器臨床の修練を積み、所定のカリキュラムをすべて履修している者が申請することができ、さらに資格審査に合格した者だけが認定医を称することができます。

また、認定医は5年ごとに資格更新が必要で、論文投稿や学会活動も義務付けられており、認定医としての技術や知識・能力などの質が維持されます。2022年度までに全国で151名の獣医循環器認定医が存在し、うち3名が当院の常勤獣医師です。また、当院で修練を積んだ出身者からも数多くの獣医循環器認定医が誕生しています。

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当院で行われる心臓検査や手術の多くは、ホームドクターからのご紹介症例です。電話やメールによる質問や症例相談も無料で随時お受けしております。可能な限り丁寧にお答えする努力をしております。